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プロ野球

新天地ロッテでの初実戦は「3番・遊撃」でスタメン出場。躍動した鳥谷敬を今岡2軍監督はどう見たか

岩国誠

2020.03.18

鳥谷は「グラウンドに立っていることへの感謝と、喜びを感じながら試合をしていました」と実戦でのプレーを噛み締めた。写真:岩国誠

鳥谷は「グラウンドに立っていることへの感謝と、喜びを感じながら試合をしていました」と実戦でのプレーを噛み締めた。写真:岩国誠

 プロ17年目を新天地・ロッテで迎えることとなった鳥谷敬が17日、2軍練習試合の巨人戦に「3番・遊撃」でスタメン出場した。昨年10月以来、約5か月ぶりとなる実戦のグラウンドへ送り出したのは、阪神時代の先輩。リーグ優勝を果たした2005年に三遊間を組んでいた今岡真訪2軍監督だった。

 新天地での初実戦。初回、先頭打者・湯浅の打球が鳥谷への正面へ転がる。ゴールデングラブ5回(遊撃では4回)受賞の名手は、難なくさばいて幸先良いスタートを切った。4回には三遊間への打球に追いつきジャンピングスロー。ノックから見せていた軽快な動きでアウトにするなど、計3回の守備機会を問題なくこなした。

 打撃では3回の第2打席に、今季巨人の先発ローテ候補に名前も挙がっている戸郷の初球を外角への直球をとらえてレフト線へ運ぶ。「タイミング的に厳しいのはわかっていましたが、感覚をつかむためにも無難にではなく積極的に」と、意図的に二塁を狙いアウトになったものの、”移籍初安打”を記録した。攻守にわたって大いに躍動した”新天地デビュー戦”となった。

 攻守で躍動感を見せたベテランを、3月11日の2軍合流から見守ってきた今岡2軍監督が、「練習通りのトリらしい動きでした。本当にブランクがないといいますか。自分できっちり練習してきているなという感じは受けました」と語る表情は、少し柔らかいものだった。

 かつて、今岡2軍監督自身も阪神からロッテへの移籍を経験した。同じような境遇の後輩にはどんな思いを抱いているのか。

「とにかくトリが納得するまで、野球をやってもらいたいです。いい意味で野球を楽しんでもらいたいなと。阪神時代に背負っていたものを一回外して、純粋に野球少年みたいなイメージで。僕は最後の方、ずっと何年も補欠でずっとやっていましたが、彼は調子が良かろうが悪かろうが、一軍でずっとベンチにいた。僕なんかと背負っているものが違います。僕にもわからない世界を彼は経験してきていますから、とにかく純粋に楽しんでもらいたいですね」
 
 今岡2軍監督の思いを体現するかのように、新天地での初実戦で躍動した鳥谷。「グラウンドに立っていることへの感謝と、喜びを感じながら試合をしていました」というベテランが、ようやく今季のスタートラインに立った。しかし、キャンプを送れなかったことで一軍の戦力として戦う上では、実戦感覚の部分でまだ多くの課題が残ると鳥谷本人も認識している。

 19日までの巨人2軍戦では3打席。20日からの楽天2軍3連戦で4打席に立ち、二塁、三塁の守備につくことが予定されている。ただ、鳥谷自身の体調や天候などによって、流動的に調整していく。

「新しいスタートという感覚よりかは、やっぱり自分がやってきたことをしっかり継続して、自分が野球選手としてどうやってきたかっていうのを見せていかないといけない。もう一回、自分のプレーをみんなに見てもらえるようにしたいなとは思いました」(鳥谷)

 虎から鴎へ。重責を降ろした背中に新たに生えた両翼で、幕張の風をいっぱいに受け、納得する高さへと舞い上がる。そんな姿を期待させるような鳥谷の今季初実戦であった。

取材・文●岩国誠(フリーライター)

【著者プロフィール】
いわくに・まこと/1973年生まれ。プロ野球のニュース番組制作に携わるTV映像ディレクター。一時は球団公式SNS用動画制作やパ・リーグTVでの制作・配信を担当。その縁からフリーライターとして、webメディアでのプロ野球記事の執筆を始める。また、舞台俳優としての経験を生かして、野球イベントなどの運営や進行役など、幅広い活動を行っている。
 

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