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プロ野球

【DeNA】「180度変わりました」“逆方向”から“前で叩く”へ――捕手・古市尊の打撃を激変させた“村田の教え”

萩原孝弘

2026.10.05

現在打撃好調の古市。村田コーチの教えがきっかけとなった。写真:萩原孝弘

現在打撃好調の古市。村田コーチの教えがきっかけとなった。写真:萩原孝弘

 夏場からメキメキと頭角を現し、投手陣を引っ張っている古市尊が、バットでも確かな存在感を示している。9月は.452、10月は5割ジャストと高打率をマークし、この間のOPSも1.047と強打者の数字を叩き出している。

 横浜に移籍してきての初年度。格段に成長した打撃には、これまでの固定観念を破り、自らの引き出しを劇的に増やした思想の転換があった。   
 
☆「引っ張っていい」という衝撃

「西武時代は『キャッチャーは右打ちをしろ』と教わってきたんです」と古市は振り返る。

 ボールを引きつけて逆方向へ打つ堅実な打撃スタイルが、捕手としての役割と指導されてきた古市。転機となったのはファームで村田修一・二軍監督から受けた指導だった。   

「村田さんに『有利なカウントでは前で強く打ってほしい』と言われて、バッティングの考え方が180度変わりました。『前で打っていいんだ』『引っ張ってもいいんだ』って」   

 元々「後ろで打つことは得意」と逆方向に打ち返すことには自信があった。そこに「前で強く叩く」という選択肢が加わった。カウントや状況に応じて「ここは前で打とう」、「ヒットが欲しい場面は逆方向へ入りにいこう」とアプローチを使い分けられるようになったことで、打席での対応力と打撃の幅は一気に広がりを見せた。   

「右打ち一本だったのが、ポイントを前にして強く打てるようになりました。引き出しが増えたと感じますね」

☆チームメイトからの学びと捕手ならではの読み

 古市の打撃の覚醒を支えているのは、指導者からの助言だけではない。チームの同世代や先輩たちへ積極的にアドバイスを求めて吸収する、どん欲な姿勢も成長のエンジンとなっている。   

「同世代の(度会)隆輝は良いバッターなのでバッティングを教わっています。また宮﨑(敏郎)さんにも打席での待ち方を聞いたりしています。苦手だったスライダーも宮﨑さんに話を聞いて打ちに行ったりしていますね。色んな人に教わりながらやっています」   

 さらに、その成長を加速させているのがキャッチャーならではの観察眼。パ・リーグとセ・リーグの投手の攻め方の違いを肌で感じ、セ・リーグ特有の配球の駆け引きを楽しんでいる。   

「パ・リーグは真っ直ぐとフォーク中心で、分かっていても真っ直ぐで攻めてくる印象でした。打席の中で絶対に真っ直ぐが1球はくるので、それを仕留められればという考えでした。でもセ・リーグは僕相手でも変化球、変化球と続けてくることが多い。だから変化球を打てるようにならないと生き残れないなと思って、狙い球を絞って打席に入っています。キャッチャーなので駆け引きを読まないと損ですしね」   

 バッティングは打者と投手の心理戦。相手のリードを読み、狙いを絞り一振りで捉える。古市の打撃には、捕手ならではの頭脳回路も関連している。
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