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【MLB今日は何の日】日本のファンが永遠に忘れない日。野茂英雄が史上2人目の日本人メジャーリーガーとしてデビュー

出野哲也

2020.05.02

メジャー1年目から大活躍を見せた野茂。日本ではもちろん、アメリカでも“ノモマニア”と呼ばれる熱狂を巻き起こした。(C)Getty Images

 1995年5月2日は、日本の野球ファンにとって忘れられない日になった。ロサンゼルス・ドジャースの野茂英雄が、サンフランシスコ・ジャイアンツ戦でメジャー初登板。64~65年にジャイアンツで投げた村上雅則以来、30年ぶり2人目の日本人メジャーリーガーとなったのだ。

 初回から、そのピッチングはいかにも野茂らしいものだった。先頭打者のダレン・ルイスからフォークで三振を奪うも、3番のバリー・ボンズ以降3連続四球。しかし6番のロイス・クレイトンは再びフォークで三振。四球も多いが奪三振はそれ以上に多く「日本でやっていた投球をそのまま出したつもり」という談話そのものだった。

 5イニング、91球を投げ被安打はロビー・トンプソンの二塁打のみ。4四球を与えながらも7奪三振で無失点に抑え、ボンズも「速球、フォーク、カーブのどれもメジャーの先発でやっていける」と外交辞令抜きで称賛した。初勝利は7試合目の6月2日と時間はかかったものの、その後は面白いように三振と勝利を積み重ね、オールスターでは先発に大抜擢。年間では13勝6敗、防御率2.54、リーグ最多の236奪三振で新人王を手にする。
 
 1年目の成功について「誰も通用するとは思っていなかった」との風説が今ではまかり通っている。確かに、そのように見ていた人も一部にはいたかもしれない。だが村上は「故障がなければ10勝」と言い、対戦経験のある複数のアメリカ人選手も「15~18勝できる」と高く買っていた。

 当日のキャンドルスティック・パークには日本人ファンが多数つめかけ、早朝からNHKの生中継を多くの視聴者が食い入るように見つめていた。彼らは皆、野茂が打たれるのを望んでいたとでも言うのだろうか? 

 さる大手紙の記者もこう言っていた。「日本人なら誰でも日本人の投手が米国で通用する姿を見たいんです」。野茂の挑戦の過程はありのままに描くべきで、必要以上にドラマティックに仕立てるのはいい加減に止めてはどうだろうか。

 文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――"裏歴史の主人公たち"」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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