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MLB

【MLB今日は何の日】クレメンスが史上初の1試合20奪三振を達成、オリオールズは悪夢の開幕21連敗にようやく終止符

出野哲也

2020.04.29

“ロケット”の異名を取ったクレメンス。史上初の1試合20奪三振を達成した86年は24勝を挙げてサイ・ヤング賞に輝いた。(C)Getty Images

“ロケット”の異名を取ったクレメンス。史上初の1試合20奪三振を達成した86年は24勝を挙げてサイ・ヤング賞に輝いた。(C)Getty Images

 晩年には薬物疑惑で評判を落としたロジャー・クレメンスだが、MLB史上屈指の大投手であることに変わりはない。彼が成し遂げたいくつもの大記録のうち、最初に達成されたのが1986年4月29日、シアトル・マリナーズ戦での1試合20奪三振だった。

 当時メジャー3年目の23歳だったクレメンスはこの日、交通渋滞に巻き込まれて試合時間ぎりぎりにフェンウェイ・パークに到着したのだが、ピッチングには何の影響もなかった。自慢の剛速球が冴え渡り、先頭打者から3者連続三振、6回まで毎回の14奪三振。ブルペンにいたスティーブ・クロフォードの感想は「ボールが捕手のミットに突き刺さる音が銃声みたいに聞こえた」。7回表にゴーマン・トーマスの本塁打で先制点を許したものの、味方が3ランホーマーで逆転してくれると、7、8回も2個ずつを追加して18奪三振とした。
 
 チームメイトから「あと1つでタイ記録だ」と知らされた9回は、テキサス大の先輩でもある先頭打者スパイク・オーウェンから19個目。そして次打者フィル・ブラッドリー(のち巨人に在籍)から奪った三振により、9回までに20三振を奪った史上初めての投手になった(延長戦では16回で21個の例がある)。

 最後の打者ケン・フェルプスは遊ゴロ。背番号と同じ21個とはいかなかったが、先発全員から20三振、被安打3の1失点完投勝利。試合後にトーマスは「ここにいて幸せだと思うべきなんだろう。こんな場面には二度と立ち会えないだろうから」と語った。

 ところが、この偉業を目撃した観客はたった1万3414人。同じ日にNFLの新人ドラフトとNBAセルティックスのプレーオフの試合があったからだが、連日満員の今では考えられない人数だった。クレメンスは10年後の96年にも、9月18日のデトロイト・タイガース戦で再び20奪三振。その後も3人がタイ記録としたものの、追い抜いた者はいない。
 

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