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プロ野球

【プロ野球選手の社会貢献活動:第1回】選手会の呼びかけで広がった支援の輪。スポーツ界から賛同が続々と

節丸裕一

2020.06.06

プロ野球選手会の第9代会長である炭谷の呼びかけで、『コロナ基金』への支援が実現した。写真:朝日新聞社

プロ野球選手会の第9代会長である炭谷の呼びかけで、『コロナ基金』への支援が実現した。写真:朝日新聞社

 5月25日、緊急事態宣言の全面解除を受けて、今シーズンの開幕日が史上最も遅い6月19日に決まった。プロ野球がないまま春が過ぎ、早くも初夏。季節感がおかしくなってしまいそうだが、それでも選手たちは来たるべき開幕をベストの状態で迎えようと準備を続けている。

 SNSを駆使してファンに楽しみを提供したり、彼らとの交流を図ったりする選手も少なくない。日々のトレーニングや練習の様子はもちろん、料理などの意外な趣味を動画で公開する選手もいて、さまざまな形でファンを喜ばせている。松田宣浩(ソフトバンク)が始めた『熱男リレー』は野球界を超えた広がりを見せ、DeNAがYouTubeで公開した『突撃ヤスアキマイク』など、各球団もコンテンツ制作に趣向を凝らす。NPB制作の『みんなとキャッチボールプロジェクト』は多くのファンの共感を呼び、自分たちでキャッチボール動画を作る人も現れた。

 影響力を生かし、社会貢献にも積極的に取り組んでいる選手もいる。特に大きく報じられたのは日本プロ野球選手会の動きだ。4月8日にNPO法人ベースボール・レジェンド・ファウンデーション(BLF)と共同で、『新型コロナウイルス感染症拡大防止活動基金』(以下『コロナ基金』)への支援を表明した。

 BLF代表の岡田真理さんは、「プロ野球選手会の炭谷銀仁朗選手会長(巨人)の存在が大きかったですね」と振り返る。その炭谷は、「選手会事務局と話し合いを重ねて、12球団の選手会長にも相談したら、みんなが賛同してくれました。それぞれが、このような状況で何か自分たちにできることはないか考えていました」と、選手会が一丸となって支援したことを改めて強調した。「自分も貢献したいけど、方法がわからない」という選手、そしてファンにとって、今回の選手会による呼び掛けは明確な道標となり、続々と寄付が集まった。クラウドファウンディングサービス『READYFOR』のサイトを見ると、名前が確認できるだけでも130人以上の選手が寄付に参加したことがわかる。
 
 海の向こうからも、田中将大(ヤンキース)や秋山翔吾(レッズ)らがこの動きに加わった。また、ラグビーの畠山健介、サッカーの小林大悟、ゴルフの市原弘大、上原彩子などから、他のプロスポーツ選手からも寄付と賛同のメッセージが寄せられた。巨人の選手会長である菅野智之は「野球界だけじゃなく、みんなで輪になっていかないといけない」と話していたが、選手会の動きがそのきっかけを作ったと言える。

 炭谷は「各スポーツ界とつながるきっかけになれたことはすごく嬉しい」と語る。そして、「今まで通り、支援を継続していくことが大切。“つなげていく”ことです」と、今後のさらなる支援についても意欲を示した。

『コロナ基金』の受付は7月2日までだ、5月下旬までに集まった寄付金は5億円を超える。一口1000円から誰でも参加でき、クラウドファウンディングのサービス手数料は無料となる。少しずつ明るい光が見えてきた今、改めて一人でも多くの人が支援の輪に加わることを祈りたい。

※『コロナ基金』・・・すでに2度の支援を実施。4月は10団体へ約4600万円、5月には16団体に約7300万円が助成された。医療物資の支援をはじめ、子ども、障害者などへのサポートなど、包括的な支援活動に活かされている。

https://readyfor.jp/projects/covid19-relief-fund/announcements/132284

文●節丸裕一

【著者プロフィール】
せつまるゆういち。フリーアナウンサー。早稲田大学を卒業後、サラリーマンを経てアナウンサーに転身。現在はJ SPORTSなどでプロ野球やMLB中継を担当。フジテレビONE『プロ野球ニュース』にも出演。

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