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プロ野球

「世代」で見るヤクルトの選手層――軸となる“出世世代”が不在?売り出し中の高橋に新人3人が絡む97年世代に期待!

氏原英明

2020.07.15

13年の新人王&最多勝投手の小川(左)と、正捕手の中村(右)は同学年。だが、同世代はそれくらいしかない。写真:金子拓弥(THE DIGEST編集部)

13年の新人王&最多勝投手の小川(左)と、正捕手の中村(右)は同学年。だが、同世代はそれくらいしかない。写真:金子拓弥(THE DIGEST編集部)

 チーム作りの基本は競争だ。選手間の競争意識を煽る要素の一つに“年齢”がある。あえて同年齢の選手を揃えて切磋琢磨させることが、チーム強化につながる。

  今回はヤクルトを見ていこう。

 2015年にリーグ優勝した時から、チームは大きく様変わりした。当時からエースだった小川泰弘と、正捕手の中村悠平の同級生バッテリーは健在だが、それ以外に同世代の主力選手はあまりいない。日本ハムからトレード移籍の高梨裕稔、昨季途中までショートのレギュラーだった西浦直亨が同学年にあたるが、チームの中心選手とまではいえない。

 過去のドラフトを見ていくと顕著だが、ほとんどの年度で活躍できたのはせいぜい1人。チームの核をなす“出世世代”がないのだ。今後は同年代の選手たちが盛んに切磋琢磨する環境を作っていく必要があるかもしれない。

 昨季のドラフトでは奥川恭伸の獲得が注目を集めたが、2位の吉田大喜、3位の杉山晃基、4位の大西広樹はすべて大卒の投手だ。1997年生まれである彼らは、本格派左腕として今後さらなる活躍が期待される高橋奎二と同学年に当たり、熾烈な争いが予想される。彼らの存在がチームを変えてくれるかもしれない。
 
 一方の野手陣でも、高橋らと同じ97・98年世代の廣岡大志に注目したい。メジャーでゴールドグラブも獲得したエスコバーが加入し、一塁が坂口智隆、二塁は山田哲人、三塁は村上宗隆とほぼ固定。外野も青木宣親、雄平の鉄板レギュラー陣に加えて、今季は塩見泰隆や山崎晃太郎が起用されており、割って入る隙はあまりないが、まず代打で結果を残してレギュラー獲りへの弾みをつけたい。彼の一学年下である太田賢吾や中山翔太にも注目だ。

 思えば、2015年のリーグ優勝当時、同世代の選手同士がうまく絡み合い、相乗効果を生んだ。84年生まれの森岡良介が選手会長を務め、ショートを守った大引啓次、クリーンアップを務めた雄平、ユーティリティの今浪隆博も同い年だった。投手陣では、88年世代の石山泰稚と秋吉亮がともに若さを生かして凌ぎを削っていた。そうした環境を再び作りたい。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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