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MLB

誤報だったカルロス・ゴンザレス解雇報道で思い出す5年前の“事件”

宇根夏樹

2020.06.01

2人の“カーゴ”。ゴンザレス(左)は強打と強肩、ゴメス(右)は攻守にエネルギッシュなプレーが魅力だった。(C)Getty Images

2人の“カーゴ”。ゴンザレス(左)は強打と強肩、ゴメス(右)は攻守にエネルギッシュなプレーが魅力だった。(C)Getty Images

 6月を迎える前に、各球団でマイナーリーガーの解雇が相次いだ。これは、週400ドルを支払うという取り決めの期限が5月末だったことに起因する。オークランド・アスレティックスは6月以降の支給停止を決め、継続して支払う球団の多くも人員整理を行った。

 例えば、シアトル・マリナーズは8月末(当初のシーズン終了予定)まで支給を続けることを決めた一方で、50人以上のマイナーリーガーを解雇した。その中に、“カーゴ”ことカルロス・ゴンザレスも含まれているとの報道が飛び交った。ゴンザレスはメジャー通算234本塁打と122盗塁を記録し、オールスター選出とゴールドグラブ受賞が3度ずつの実績を持つが、今年2月にマリナーズと交わしたのはマイナー契約だ。メジャーの40人ロースターに入っていないので、身分としてはマイナーリーガーとなる。

 けれども、これは誤報だったらしい。名物記者のジョン・ヘイマンは解雇を報じた翌日、「カルロス・ゴンザレスはマリナーズから解雇されていない。改めて報じる。フライングしたことを謝罪する」とツイートした。
 
 一方、同じく“カーゴ”のニックネームを持つカルロス・ゴメスは、今年1月に引退を表明した。こちらは、通算145本塁打&268盗塁を記録し、オールスター選出は2度、ゴールドグラブ受賞は1度だ。ちなみに、2013年のナ・リーグでゴールドグラブを手にした外野手は、2人の“カーゴ”と現巨人のヘラルド・パーラだった。

 実は、ゴメスもフライング報道に巻き込まれたことがある。5年前の夏、ゴメスはミルウォーキー・ブルワーズからニューヨーク・メッツへトレードされたと報じられた。ただ、何人もの記者がツイートしたものの、その時点でトレードは正式に成立しておらず、結局、ゴメスはヒューストン・アストロズへ移った。

 この時、メッツが放出する選手の一人として挙がったのが、ウィルマー・フローレス(現サンフランシスコ・ジャイアンツ)だ。トレードが報じられた日、地元ニューヨークでの試合に出場していたフローレスは、打席に入った際、ツイッターでの報道を見たファンから惜別のスタンディング・オベーションを受け、その後、遊撃を守りながら涙を流した。トレードが破談となり、メッツに残ったフローレスは2日後の試合でサヨナラ本塁打を放ち、またもファンから喝采を浴びた。

 ゴンザレスのフライング報道にも、開幕ロースター入りという後日談(今シーズンがあればの話だが)がつくのだろうか。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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