新型コロナウイルスの感染拡大でメジャー全球団が大規模な経済的損失を被り、マイナーリーガーの解雇、さらには給与の支払い停止を行うチームも出てきた。

　５月29日現地時間、昨年ワールドシリーズを制覇したワシントン・ナショナルズは約30人のマイナーリーガーに解雇処分を下し、残りの選手には6月末までは給与を支払い続けることを明言した一方、その金額は５月までの週給400ドル（約４万2800円）から週給300ドル（約３万2100円）へと減額することを発表した。

　薄給で知られるマイナーリーガーにとってはあまりにも衝撃的なニュースとなったが、これを受け、ナショナルズのメジャーリーガーたちが立ち上がった。31日、守護神のショーン・ドゥーリトルは自身のツイッターにて、傘下のマイナーリーガーへの資金援助を行うことを明言したのだった。
  「俺たち全員、かつてはマイナーリーガーだった」と通算111セーブの左腕は続けた。「現在の不確実な情勢の中、週給が選手や彼らの家族にとって、どれほど重要なものであるかを理解している」。

　ドゥーリトルが言うには、球団の給与削減が決まるや、ナショナルズの選手たちはビデオアプリ『ZOOM』にて会議を開催。満場一致で資金援助することを決めたという。

「マイナーリーガーは球団組織にとって必要不可欠な存在だ。マイナーのシーズンは中止となる可能性が高く、彼らは最も重い負担を強いられている。俺たちはそのことを認識しているし、彼らを支援したいんだ」と、ドゥーリトルは最後に結んでいる。

　この一連のツイートはすでに２万件以上の「いいね」がつくなど絶賛の嵐。ナショナルズのオーナー一家の資産は50億ドル（約5350億円）とも言われており、この給与削減のニュースの時に大バッシングを受けたのとは対照的な結果となった。

　先日は、ロサンゼルス・ドジャースのデビッド・プライスが個人的に傘下200人のマイナーリーガー全員に1000ドル（約10万7000円）を支援して話題を呼んだが、こうして苦境に立った人間に手を差し伸べることができるのも、「さすがメジャーリーガー！」という振る舞いだろう。

構成●SLUGGER編集部

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