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MLB

新型コロナで結婚式が延期になったカップルが球場で挙式! レイズの粋な計らいが話題に

宇根夏樹

2020.06.05

今季からレイズに加入した筒香嘉智もまだトロピカーナ・フィールドではプレーしていない。(C)Getty Images

今季からレイズに加入した筒香嘉智もまだトロピカーナ・フィールドではプレーしていない。(C)Getty Images

 新型コロナウイルスの蔓延がなければ、5月30日のトロピカーナ・フィールドでは、タンパベイ・レイズとミルウォーキー・ブルワーズが試合を行っているはずだった。オーナー側と選手会の間には実施条件についての隔たりがあり、開幕を迎えられるかどうかも定かではない。

 その代わり、というではないが、この日のトロピカーナ・フィールドでは、2人のレイズファンが主役となった。地元に住むアシュリー・ヒルさんとロナルド・ホワイトさんが球場で結婚式を挙げたのだ。

 シンシナティ・レッズの本拠地グレートアメリカン・ボールパークのように、正式に結婚式会場として球場を貸し出すチームもある(ちなみに最も高いコースは1万ドル=約92万円)が、トロピカーナ・フィールドにそうしたプランは用意されていない。今回の結婚式が実現したのは、1通のメールが始まりだった。

 2人は州立公園に100人以上を招いて式を挙げる予定でいたが、新型コロナウイルスにより、公園は使えなくなった。昨年、母親ががんと診断され、今年に入って弟が亡くなるなど不幸が続いていたアシュリーさんは、結婚式も延期となって途方に暮れたが、一縷の望みを託してレイズに球場で結婚式をしたいとメールを送った。選手はもちろん、球団関係者に知り合いがいるわけでもなく、願いが叶うとはまったく思っていなかったというが、球団は快くOKをくれた。
 それどころか、式にかかった費用もすべてレイズが負担した。2人はウェディングドレスとタキシードではなく、ホーム用の白いレイズのジャージを着て式に臨んだ。アシュリーさんのジャージの背文字は「TOGETHER」、ロナルドさんは「SINCE」で、背番号はどちらも「20」。それらをつなげると「TOGETHER SINCE 2020」となる。「2020年に結婚しました」という意味だ。

 参列者は20人弱。ホームとマウンドをつなぐように敷かれた花道の両サイドに、ソーシャル・ディスタンスをとって椅子が並べられた。司祭を務めたのは、球場警備と運営の責任者。紺のオルタネイト・ジャージを着て、全員がマスクをかけていた。結婚指輪を渡す役目はマスコットのレイモンドが担い、こちらはタキシードを着用。スクリーンではレイズの2選手、ケビン・キアマイアーとオースティン・メドウズからのビデオメッセージが流された。

 なお、トロピカーナ・フィールドで行われているのは、結婚式だけではない。その5日前から、レイズは球場で限定的な練習を開始した。初日はメドウズを含む14選手が参加し、ケビン・キャッシュ監督も姿を見せた。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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