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MLB

【担当記者が見た大谷翔平】大谷をリスペクトしてやまない救援右腕バットリーが復活白星をサポートする

斎藤庸裕

2020.06.13

大谷(左)が最後に白星を挙げたのはもう2年以上も前。バットリー(左)は昨年、チーム最多の72試合登板とフル回転した。(C)Getty Images

大谷(左)が最後に白星を挙げたのはもう2年以上も前。バットリー(左)は昨年、チーム最多の72試合登板とフル回転した。(C)Getty Images

 シーズン開幕が遅れる中、大谷翔平は一昨年10月に受けたトミー・ジョン手術からの復帰を目指して着実に調整を続けている。メジャーでの最後のマウンドは18年9月2日、勝ち星を挙げたのは5月20日で、もう2年以上の年月が経っている。シーズンが始まり、いざ大谷がマウンドに上がった際は、もちろん展開次第ではあるがブルペン陣も復活白星の鍵を握っている。

 セットアッパーのタイ・バットリーは、ブルペンの中でも重要な役割を任されている一人。198cmの大柄の体から、平均球速97.1マイル(約156.3キロ)の力強い4シームで押す。ジョー・マッドン監督からも高く評価される27歳の右腕は、大谷と公私とも仲が良く、「僕のベストフレンド」とうれしそうに話す。

 4月に各球団の代表選手がオンライン対戦でテレビゲームの『MLB The SHOW20』を戦った際にはエンジェルスの代表として出場し、「最高レベルのランクだった」という大谷を開幕投手で起用。本人には開幕投手に選んだことを伝えなかったが、「彼はそんなの気にしないと思うよ」と笑う。
 
 ただ仲がいいだけでなく、バットリーは大谷の日々の野球への取り組み方にリスペクトの念を抱いている。2年目のキャンプで、右ヒジのリハビリで地道なトレーニングを続けていた大谷と接したバットリーは「毎日、不満な顔も見せずにやっていた。いつも笑顔で、すべて順調だというような感じだった。そういう姿を見て、彼はすごいなと思った」と感心していた。「僕だったら、プレーできなくて気分的にふてくされることもあったと思う」。自分を省みた上で、リハビリ中の大谷の精神的な強さに驚きを隠せなかった。

 4シームは最速101マイル(約162.5キロ)を誇るが、短いイニングを全力で腕を振るだけに、出力の継続が難しいことを肌で感じることもある。だからこそ、「先発は長いイニングを投げる必要があるし、彼の方がもっともっとすごい」と思えるのだろう。

 仲間として尊敬し、信頼を寄せる大谷の復帰登板が近づいている。トミー・ジョン手術明けで、当面はイニング数の制限が予想される。となれば、バットリーが大谷のリリーフで登場する場面も多くなるだろう。大谷自身の投球はもちろん、復活星をつなぐチームメイトの全力投球にも注目したい。

文●斎藤庸裕

【著者プロフィール】
さいとう・のぶひろ。1983年、埼玉県生まれ。日刊スポーツ新聞社でプロ野球担当記者を務めた後サンディエゴ州立大学でスポーツビジネスを学ぶ。2018年から大谷翔平の担当記者を務める。日刊スポーツでコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」を配信中。

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