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MLB

【MLB今日は何の日】どん底から這い上がったハミルトンが球宴HRダービーで魅せた伝説のパフォーマンス

出野哲也

2020.07.14

ドラッグと酒に溺れ、一時は半引退状態に追い込まれたハミルトン。ようやく立った晴れ舞台で記憶に残る活躍を演じた。(C)Getty Images

ドラッグと酒に溺れ、一時は半引退状態に追い込まれたハミルトン。ようやく立った晴れ舞台で記憶に残る活躍を演じた。(C)Getty Images

 近年では、オールスターゲーム本戦より注目度が高いようにも思われるホームランダービー。その中でも、歴史上最も印象に残るパフォーマンスの一つが、2008年のジョシュ・ハミルトン(テキサス・レンジャーズ)だった。

 この年メジャー2年目だったハミルトンは、前半戦は三冠王ペースで打ちまくっていた。重度の麻薬とアルコールへの耽溺から立ち直った、かつてのドラフト全体1位指名選手の活躍はハリウッド映画並みのサクセス・ストーリーとして語られ、ヤンキー・スタジアムで開催されるオールスターにもファン投票で選出されていた。

 本戦前日、7月14日のホームラン・ダービーでも一番の注目はハミルトンだった。普段の打撃練習から超特大弾を叩き込んでいる彼が、どんなパフォーマンスを見せてくれるのかと期待は大いに高まっていた。
 
 そんなファンの期待を、ハミルトンは軽々と超えていった。アマチュア時代のコーチの投げるボールを、次から次へスタンドへと放り込み「4~5本連続でいった頃には、ベンチの誰もが息を殺して見つめていた」(ボストン・レッドソックス監督のテリー・フランコーナ)。第1ラウンドではHRダービー新記録の28本、うち3本は500フィート(152m)以上も飛び、ヤンキー・スタジアムは文字通り興奮の坩堝と化した。

 もっとも、エネルギーを使い果たしたのか、準決勝では4本、そしてジャスティン・モアノー(ミネソタ・ツインズ)との決勝も3本にとどまり準優勝で終わった。それでもモアノーが「皆の記憶に残るのはハミルトンだろう」と苦笑した通り、この日の主役が誰だったかは疑いの余地がなかった。

「リハビリ期間中、俺はヤンキー・スタジアムでホームランダービーに出ている夢を見た。何本打ったのか、勝ったかどうかも分からない。覚えているのは、金髪の女性レポーターにインタビューされていた光景だった」(ハミルトン)。10年にMVPを受賞するなどその後も活躍を続けたが、過去の悪癖を完全には断ち切れず、メジャーでのプレーは15年が最後になった。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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