日本では8月5日の楽天対ソフトバンク戦で、涌井秀章が9回1死までノーヒッターの快投をして大きな話題を呼んだ。彼ほどの“惜しさ”には及ばなかったものの、現地時間8日に行われたメジャーリーグでは、味方野手のミスでノーヒッターがぶち壊しとなる、笑えるようで笑えない珍事があった。
ロサンゼルス・ドジャースがサンフランシスコ・ジャイアンツを本拠地で迎えた一戦、ジャイアンツの先発右腕、ジョニー・クエイトは首位ドジャース相手に変幻自在の投球を披露。クネクネと身体を動かして打者を幻惑する投球が持ち味のクエイトは、5回まで四球1個の無安打投球を見せた。しかし6回裏、クエイトに悲劇が訪れる。
6回、ドジャース先頭8番のキケ・ヘルナンデスを迎えると、カウント2―1からキケは平凡なレフトフライを打ち上げる。クエイトは空に指を上げ、レフトのハンター・ペンスも捕球体勢に入った……かと思いきや、ペンスは突如、首を横に振り、「打球どこ?」と味方野手に呼びかけるのだった。そして打球は、ペンスの後方にポトリと落下。打者はそのまま三塁に到達し、クエイトのノーヒッターは「三塁打」という形で幕を閉じた。
唖然とした表情のクエイト。それでも、次の打者を遊ゴロに仕留めるも、走者が還って1失点。これにて完封のチャンスも失ってしまう。その後2つの四球を出しながら2死までこぎつけたが、4番のジャスティン・ターナーに“この日初めて”となるヒットが、まさかの3ランとなり4失点。6回途中で降板することになってしまった。
もちろん、ペンスが普通に捕球していてもどこかで打たれた可能性はある。しかし、ベンチに戻る時のクエイトの表情からは、「あれがなければこんなことには……」と、少なくとも4失点はしていなかったという、悔やんでも悔やみきれない様が見て取れた。ペンスの“失策”(記録上はヒット)を見たファンからも、「あれがエラーじゃないなんてかわいそう」「オーマイガー」とクエイトを同情する声が上がった。
実は、似たような経験を“涌井の盟友”でもあるダルビッシュ有(シカゴ・カブス)もしている。テキサス・レンジャーズ時代の2014年、5月9日のボストン・レッドソックス戦でダルビッシュは7回2死までノーヒッターの快投を演じた。迎えた大打者のデビッド・オティーズも平凡な二飛に仕留めたかに見えたが、二塁のルーネッド・オドーアと右翼のアレックス・リオスが謎の譲り合いによって打球が落下。しかしこの時は、リオスの失策として記録され、ノーヒッターは継続されていた。
その後もダルビッシュは9回2死まで無安打に抑え、またも迎えるはオティーズ。しかし、シフトを突き破るヒットを許し、快挙は幻と消えた。もっとも、先の失策(後日にヒットとして訂正)がなければ、オティーズに打席が回ることがなかったわけで、つくづく味方野手が“敵”になってしまうのは……。先日の涌井が川島慶三にぐうの音も出ないヒットを許してノーヒッターが終わったのは、クエイトやダルビッシュの件を思うと、「終わり方」としてはある意味、幸せなのかもしれない。
構成●SLUGGER編集部
【動画】クエイトに訪れた悲運…味方が打球を見失ってノーヒッター終了
ロサンゼルス・ドジャースがサンフランシスコ・ジャイアンツを本拠地で迎えた一戦、ジャイアンツの先発右腕、ジョニー・クエイトは首位ドジャース相手に変幻自在の投球を披露。クネクネと身体を動かして打者を幻惑する投球が持ち味のクエイトは、5回まで四球1個の無安打投球を見せた。しかし6回裏、クエイトに悲劇が訪れる。
6回、ドジャース先頭8番のキケ・ヘルナンデスを迎えると、カウント2―1からキケは平凡なレフトフライを打ち上げる。クエイトは空に指を上げ、レフトのハンター・ペンスも捕球体勢に入った……かと思いきや、ペンスは突如、首を横に振り、「打球どこ?」と味方野手に呼びかけるのだった。そして打球は、ペンスの後方にポトリと落下。打者はそのまま三塁に到達し、クエイトのノーヒッターは「三塁打」という形で幕を閉じた。
唖然とした表情のクエイト。それでも、次の打者を遊ゴロに仕留めるも、走者が還って1失点。これにて完封のチャンスも失ってしまう。その後2つの四球を出しながら2死までこぎつけたが、4番のジャスティン・ターナーに“この日初めて”となるヒットが、まさかの3ランとなり4失点。6回途中で降板することになってしまった。
もちろん、ペンスが普通に捕球していてもどこかで打たれた可能性はある。しかし、ベンチに戻る時のクエイトの表情からは、「あれがなければこんなことには……」と、少なくとも4失点はしていなかったという、悔やんでも悔やみきれない様が見て取れた。ペンスの“失策”(記録上はヒット)を見たファンからも、「あれがエラーじゃないなんてかわいそう」「オーマイガー」とクエイトを同情する声が上がった。
実は、似たような経験を“涌井の盟友”でもあるダルビッシュ有(シカゴ・カブス)もしている。テキサス・レンジャーズ時代の2014年、5月9日のボストン・レッドソックス戦でダルビッシュは7回2死までノーヒッターの快投を演じた。迎えた大打者のデビッド・オティーズも平凡な二飛に仕留めたかに見えたが、二塁のルーネッド・オドーアと右翼のアレックス・リオスが謎の譲り合いによって打球が落下。しかしこの時は、リオスの失策として記録され、ノーヒッターは継続されていた。
その後もダルビッシュは9回2死まで無安打に抑え、またも迎えるはオティーズ。しかし、シフトを突き破るヒットを許し、快挙は幻と消えた。もっとも、先の失策(後日にヒットとして訂正)がなければ、オティーズに打席が回ることがなかったわけで、つくづく味方野手が“敵”になってしまうのは……。先日の涌井が川島慶三にぐうの音も出ないヒットを許してノーヒッターが終わったのは、クエイトやダルビッシュの件を思うと、「終わり方」としてはある意味、幸せなのかもしれない。
構成●SLUGGER編集部
【動画】クエイトに訪れた悲運…味方が打球を見失ってノーヒッター終了