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高校野球

痛恨の走塁ミスから崩れた仙台育英。高校野球の「怖さ」を凝縮した一戦は倉敷商が会心の勝利

氏原英明

2020.08.16

強豪・仙台育英を下した倉敷商。相手のミスもあったとはいえ、見事な試合巧者ぶりだった。写真:徳原隆元

強豪・仙台育英を下した倉敷商。相手のミスもあったとはいえ、見事な試合巧者ぶりだった。写真:徳原隆元

 仙台育英が完膚なきまでにやられた。

 甲子園交流試合第4日目第3試合は倉敷商が6対1で仙台育英を下し、今大会で初めて公立校が私学を破った。

 福家悠太、永野司、2人の投手の継投で強打の仙台育英打線を封じ、打線は最速141キロのストレートが持ち味の左腕・向坂優太郎をノックアウト。試合巧者ぶりを発揮した倉敷商の戦いぶりは見事と言うほかなかった。

 4回、試合の趨勢を大きく変えたシーンがあった。

 就任3年目にして3度目の甲子園出場となる仙台育英・須恵航監督は試合後、次のように話して唇を噛んだ。

「守備じゃなくて攻撃にミスがありました。4回表、笹倉(世凪)の走塁の判断が非常に重かったですね。ちょっとかわいそうな言い方をしますけど、走塁練習をしてきたのに、大きなミスが出たのがチームとして重かった。キチッとした走塁ができていれば、3対0、4対0にできた展開でした」
 
 打った・抑えたばかりがクローズアップされる高校野球だが、走塁が試合を分けることが時としてある。この試合がまさにそうだった。

 須恵監督が頭を抱えた場面を説明するとこうだ。

 4回表、仙台育英は先頭の4番・入江大樹が左翼オーバーの二塁打で出塁。5番の笹倉が犠打で送ったところ、倉敷商の投手・永野が処理を誤りオールセーフ。無死一、三塁となって6番の向坂が左翼線に適時打を放ったところで、一塁走者の笹倉が判断ミスを犯した。

 二塁ベース上で止まってしまったのだ。さらに、7番・吉野蓮がセンターフライ。しかし、笹倉は一時、ハーフウェーの体勢を取ってからあわててタッチアップ。結果的に三塁で憤死となった。これで2死一塁となり、後続が打ち取られてこの回1点しか挙げられなかったのだ。

 仙台育英の須恵監督は走塁を基本戦術として徹底してきた。積極果敢に狙うこともそうだが、試合の流れを読んだ好走塁を信条としていた。就任して3年目になるが、昨夏ベスト8進出を果たした時には「走塁面の戦術は完成した」と語るほど自信を持っていた。その中でのミスだったのである。
 

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