プロ野球の新人選手選択会議(ドラフト)まで1か月を切った。
来月の今頃にはプロを夢見る卵たちの進路が決まる。
現在、日本のルールでは、学生に限ってプロを志望する選手に関しては国内外を問わず「プロ志望届」の提出が義務付けられている。プロ・アマ規定がはびこる日本の野球界では、プロとアマの選手が直接接触することが禁じられているが、ここからはプロ志望届提出者と球団関係者の接触が可能になる。
独自路線のスカウティングを進めている日本ハムはこの時期を重要視していて、指名候補選手に対して調査書を作成するタイミングで面談なるものを行なっている。
選手の技量についての評価はグラウンドや練習場ですでに終わっているが、野球以外の部分で、彼らの個性に着目するためである。それが時に伸びる要素を発見できるそうだ。
一方、プロ志望届の提出は、選手側にも利点はある。
例えば、高校生の中で今年夏の大会で力を発揮できなかった選手は、この機会にプロテストを受けることもできる。スカウトの中には必ず一人は連れて行くと言う人もいて、選手側からしても再評価を受ける絶好のチャンスになる。また、海外挑戦、独立リーグのトライアウトを視野に入れる選手もプロ志望届は出す。
そのプロ志望届の提出はすでに始まっていて9月17日の時点では、高校生が74人、大学生は49人が提出している。少しメンバーを見ていきたい。 高校生から見ていくと、U-18日本代表メンバーからは左腕投手として先発救援、あるいは野手として活躍した宮城大弥(興南高)、内野の複数ポジションを守った武岡龍世(八戸学院光星高)が提出。この夏の甲子園出場した選手では3回戦に進出した敦賀気比高の4番・木下元秀、高岡商高の4番・堀裕貴が届を出している。甲子園未出場組でいうと、大型ショートとして評判の菊田拡和(常総学院高)と紅林弘太郎(駿河総合高)の二人がいる。
投手では、どの選手も甲子園未出場組だが、横山陸人(専大松戸高)、落合秀市(和歌山東高)、谷岡楓太(武田高)の3人の右腕、サウスポーの井上温人(前橋商高)、玉村昇悟(丹生高)は影の実力者としてスカウトからの評価を受けている選手たちだ。
一方、大学に目を移すと、東京六大学野球連盟は多くの選手が提出済みだ。
大学No.1投手として今年の注目選手の一人、森下暢仁(明治大)がチームメイトの伊勢大夢とともに提出した。慶應大と法政大からは最多の5人ずつが出しており、慶大は郡司裕也、柳町達、法大は宇草孔基、安本竜二らが指名を待つ。また、郡司とともに大学球界屈指の捕手として評価の高い海野隆司(東海大)や佐藤都志也(東洋大)も名を連ねている。
このほか、津森宥紀(東北福祉大)、勝俣翔貴(国際武道大)、大西広樹(大商大)など実力者も続々と提出。ドラフトの到来を感じさせている。
プロ志望届の提出期限は10月3日。ドラフト会議は10月17日に東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミールで17時から開催される。
文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。
来月の今頃にはプロを夢見る卵たちの進路が決まる。
現在、日本のルールでは、学生に限ってプロを志望する選手に関しては国内外を問わず「プロ志望届」の提出が義務付けられている。プロ・アマ規定がはびこる日本の野球界では、プロとアマの選手が直接接触することが禁じられているが、ここからはプロ志望届提出者と球団関係者の接触が可能になる。
独自路線のスカウティングを進めている日本ハムはこの時期を重要視していて、指名候補選手に対して調査書を作成するタイミングで面談なるものを行なっている。
選手の技量についての評価はグラウンドや練習場ですでに終わっているが、野球以外の部分で、彼らの個性に着目するためである。それが時に伸びる要素を発見できるそうだ。
一方、プロ志望届の提出は、選手側にも利点はある。
例えば、高校生の中で今年夏の大会で力を発揮できなかった選手は、この機会にプロテストを受けることもできる。スカウトの中には必ず一人は連れて行くと言う人もいて、選手側からしても再評価を受ける絶好のチャンスになる。また、海外挑戦、独立リーグのトライアウトを視野に入れる選手もプロ志望届は出す。
そのプロ志望届の提出はすでに始まっていて9月17日の時点では、高校生が74人、大学生は49人が提出している。少しメンバーを見ていきたい。 高校生から見ていくと、U-18日本代表メンバーからは左腕投手として先発救援、あるいは野手として活躍した宮城大弥(興南高)、内野の複数ポジションを守った武岡龍世(八戸学院光星高)が提出。この夏の甲子園出場した選手では3回戦に進出した敦賀気比高の4番・木下元秀、高岡商高の4番・堀裕貴が届を出している。甲子園未出場組でいうと、大型ショートとして評判の菊田拡和(常総学院高)と紅林弘太郎(駿河総合高)の二人がいる。
投手では、どの選手も甲子園未出場組だが、横山陸人(専大松戸高)、落合秀市(和歌山東高)、谷岡楓太(武田高)の3人の右腕、サウスポーの井上温人(前橋商高)、玉村昇悟(丹生高)は影の実力者としてスカウトからの評価を受けている選手たちだ。
一方、大学に目を移すと、東京六大学野球連盟は多くの選手が提出済みだ。
大学No.1投手として今年の注目選手の一人、森下暢仁(明治大)がチームメイトの伊勢大夢とともに提出した。慶應大と法政大からは最多の5人ずつが出しており、慶大は郡司裕也、柳町達、法大は宇草孔基、安本竜二らが指名を待つ。また、郡司とともに大学球界屈指の捕手として評価の高い海野隆司(東海大)や佐藤都志也(東洋大)も名を連ねている。
このほか、津森宥紀(東北福祉大)、勝俣翔貴(国際武道大)、大西広樹(大商大)など実力者も続々と提出。ドラフトの到来を感じさせている。
プロ志望届の提出期限は10月3日。ドラフト会議は10月17日に東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミールで17時から開催される。
文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。