9月22日、レギュラーシーズンが残り5試合となったところで、エンジェルスはレギュラー遊撃手のアンドレルトン・シモンズが残り試合の欠場を決めたと発表した。球団としては、シモンズの決断を尊重するという。シモンズが地元紙『ロサンゼルス・タイムズ』に出した声明文には「自身と家族にとって、これが最良の決断だと思う」と記されている。欠場の理由は、新型コロナウイルスの感染リスクだ。
けれども、この欠場には批判的な見方もある。中でも、ウェブサイト『ラリー・ブラウン・スポーツ』のラリー・ブラウンは辛辣だ。「シモンズの決断は、自分本位で配慮に欠けているように見える。新型コロナウイルスのパンデミック中にプレーしたくないと思うのであれば、シーズンが始まる前に欠場を決めるか、不安を感じた時点ですぐにそうすべきだった。けれども、エンジェルスがプレーオフ争いからほぼ脱落するまで、彼は待っていた。なぜかって? 31歳の遊撃手はシーズン終了後にFAとなる。故障したくなかったんだろう」と書いている。エンジェルスがポストシーズンへ進めそうであれば、シモンズはプレーを続けていたと言わんばかりだ。
もちろん、実際のところどうなのかは分からない。ただ、シモンズが最後に出場した9月21日の試合が終わった時点で、エンジェルスは24勝31敗。ア・リーグ西地区4位で、2位のアストロズとは3.5ゲーム差だった。ワイルドカード争いでも4番手に位置し、2番手のブルージェイズとは4.5ゲーム差。ゲーム差はあまりないように見えるが、残り試合からすると、エンジェルスのポストシーズン進出は極めて困難な状況にある。
開幕直後に左足首を痛めた影響で今シーズンは万全の状態ではなかったシモンズだが、本来は球史に残る守備の名手。とはいえ、彼に代わる遊撃手の候補にはコンタクト能力に優れるデビッド・フレッチャーがいる。エンジェルスは投手陣の立て直しが最優先事項であることを踏まえると、シモンズはこのままFAとなり、他球団へ移籍する可能性の方が高そうだ。
ちなみに、今オフにFAとなる遊撃手はシモンズだけでない。マーカス・セミエン(アスレティックス)やディーディー・グレゴリアス(フィリーズ)もそうだ。2人とも、守備ではシモンズと比べるべくもないが、打撃では逆にシモンズよりも上。来オフにFAとなるフランシスコ・リンドーア(インディアンス)も、トレードで移籍するかもしれない。こちらはシモンズよりはるかに若く、走攻守三拍子揃っている。まさに「ご要望に応じて各種取り揃えております」といった感じで、遊撃手が欲しい球団にとってはよりどりみどりだろう。
文●宇根夏樹
【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
【PHOTO】スター選手が勢ぞろい! 2020MLBプレーヤーランキングTOP30
けれども、この欠場には批判的な見方もある。中でも、ウェブサイト『ラリー・ブラウン・スポーツ』のラリー・ブラウンは辛辣だ。「シモンズの決断は、自分本位で配慮に欠けているように見える。新型コロナウイルスのパンデミック中にプレーしたくないと思うのであれば、シーズンが始まる前に欠場を決めるか、不安を感じた時点ですぐにそうすべきだった。けれども、エンジェルスがプレーオフ争いからほぼ脱落するまで、彼は待っていた。なぜかって? 31歳の遊撃手はシーズン終了後にFAとなる。故障したくなかったんだろう」と書いている。エンジェルスがポストシーズンへ進めそうであれば、シモンズはプレーを続けていたと言わんばかりだ。
もちろん、実際のところどうなのかは分からない。ただ、シモンズが最後に出場した9月21日の試合が終わった時点で、エンジェルスは24勝31敗。ア・リーグ西地区4位で、2位のアストロズとは3.5ゲーム差だった。ワイルドカード争いでも4番手に位置し、2番手のブルージェイズとは4.5ゲーム差。ゲーム差はあまりないように見えるが、残り試合からすると、エンジェルスのポストシーズン進出は極めて困難な状況にある。
開幕直後に左足首を痛めた影響で今シーズンは万全の状態ではなかったシモンズだが、本来は球史に残る守備の名手。とはいえ、彼に代わる遊撃手の候補にはコンタクト能力に優れるデビッド・フレッチャーがいる。エンジェルスは投手陣の立て直しが最優先事項であることを踏まえると、シモンズはこのままFAとなり、他球団へ移籍する可能性の方が高そうだ。
ちなみに、今オフにFAとなる遊撃手はシモンズだけでない。マーカス・セミエン(アスレティックス)やディーディー・グレゴリアス(フィリーズ)もそうだ。2人とも、守備ではシモンズと比べるべくもないが、打撃では逆にシモンズよりも上。来オフにFAとなるフランシスコ・リンドーア(インディアンス)も、トレードで移籍するかもしれない。こちらはシモンズよりはるかに若く、走攻守三拍子揃っている。まさに「ご要望に応じて各種取り揃えております」といった感じで、遊撃手が欲しい球団にとってはよりどりみどりだろう。
文●宇根夏樹
【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
【PHOTO】スター選手が勢ぞろい! 2020MLBプレーヤーランキングTOP30