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プロ野球

新型コロナで激震走るロッテは、インフルエンザ大量感染からリーグ優勝した「2009年日本ハム」の再現を果たせるか?

THE DIGEST編集部

2020.10.06

荻野(右上)、角中(左上)、藤岡(左下)ら主力を新型コロナで失ったロッテ。緊急昇格した期待株・藤原(右下)は起爆剤となれるだろうか。写真:金子拓弥/THE DIGEST&山手琢也(藤原)

荻野(右上)、角中(左上)、藤岡(左下)ら主力を新型コロナで失ったロッテ。緊急昇格した期待株・藤原(右下)は起爆剤となれるだろうか。写真:金子拓弥/THE DIGEST&山手琢也(藤原)

 球界に衝撃が走っている。

 ロッテは6日、新型コロナウイルスのPCR検査の結果、選手ら11人が陽性と判定されたことを発表した。荻野貴司、清田育宏、角中勝也、菅野剛士の外野手4人、鳥谷敬、三木亮、藤岡裕大の内野手3人、さらにコーチ他チームスタッフ4人。また4日には、岩下大輝が陽性反応を示し、同じく投手の山本大貴、東妻勇輔、小野郁、さらに外野手の和田康士朗の4人が濃厚接触者と認定された。

 陽性反応を示した選手だけでなく、濃厚接触者の4名もNPBのガイドラインに従って10日間の自宅待機が義務付けられているため、シーズン終盤戦になって主力がまさかの大量離脱となった。1970年以来、50年ぶりのレギュラーシーズン優勝を目指して首位ソフトバンクと熾烈な争いをしているチームにとって、あまりに痛すぎる知らせとなった。

 それでも、前を向いて戦うしかない。新型コロナウイルスに感染する可能性は誰にでもあるわけで、井口資仁監督の元には選手から謝罪のLINEが届いたというが、松本尚樹本部長が「ルールを破った選手がいたわけではない」「野球選手だけじゃない。彼らも『申し訳ございません』と謝る必要はない」と語ったように、どうしようもないものである。

 そして実際、ロッテと同じようにシーズン後半に厄災に見舞われながらも、見事にリーグ優勝を果たしたチームも存在する。11年前、2009年のパ・リーグ覇者、日本ハムだ。
 
 大黒柱のダルビッシュ有を筆頭とした日本ハムはこの年、中田翔が一軍デビューを果たし、糸井嘉男もブレイク、また“恐怖の9番”金子誠や高橋信二などベテラン勢の活躍も光り、序盤戦から首位を快走。8月15日には2位と7ゲーム差まで広げていた。しかし同月18日、チームに疫禍が襲った。この年に蔓延していた新型インフルエンザに、新人捕手の大野奨太からチーム内に広がっていき、中継ぎ左腕の宮西尚生、大砲スレッジ、好調だった小谷野栄一らスタッフ含め計11選手が罹患した。

 今回のコロナのような統一の対応策はなく、選手たちは自宅療養を中心に養生。選手の再登録期間を考え、野手は極力抹消せずに回復を待った。19日の試合は中止となったが、翌20日の楽天戦はベンチ入りメンバーが19人、うち野手は12人という“極薄”体制となり、試合も敗戦。クラスター発生の18日から6連敗を喫し、さらに21日の試合で肩に打球が直撃した影響でダルビッシュも故障離脱。文字通り、絶体絶命の危機に見舞われた。

 病の影響か、好調だった投打のチーム状況も一気に暗転し、9月は同年初の負け越し。それでも、楽天、ソフトバンクも足踏みしたことでどうにか逃げ切り、見事にリーグ優勝を果たした。日本シリーズでは2勝4敗で巨人に敗れたとはいえ、アクシデントに見舞われながらも戦い切った日本ハムは、本当に素晴らしいものだったと言えるだろう。

 2009年の日本ハムと、今回のロッテはその取り巻く環境はすべて同じではない。むしろ、選手の離脱期間を考えれば、ロッテの方が厳しいかもしれない。ただ、日本ハムがそうであったように、こうした不測の事態にこそ「チーム一丸」で戦う総合力が試される。二軍からも藤原恭大ら多くの若手が昇格してきた。それをチャンスとして羽ばたく選手も出てくるかもしれない。

 コロナ禍をどう乗り越えていくのか、ロッテの戦い方にも注目していきたい。
        
構成●THE DIGEST編集部

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