プロ野球

西武連覇の使者、ザック・ニールがもたらした“15勝分の価値”。「毎日、自分がより良くなるために努力した」

中島大輔

2019.09.25

防御率リーグワーストに苦しむ投手陣で救世主となったニール。親しみやすい性格で、ファンへの神対応も評価が高い。(写真)朝日新聞社

 外国人投手としては史上人目、プロ野球タイ記録の11連勝。月に二軍から昇格し、リーグ連覇を決めた24日のロッテ戦まで勝ち続けたザック・ニールが、防御率リーグワーストと苦しんだ西武投手陣を牽引した。

 今季17試合に登板して12敗の好成績を残している右腕投手には、少なく見積もっても"15勝"分の価値がある。28日の日本ハム戦、日のオリックス戦では勝ちが付かなかったものの、しっかりゲームを作る投球でチームは勝利を手にした。

 残りの"勝"は、十亀剣が19日の日本ハム戦で先発して挙げたものだ。十亀が前回登板の同12日のソフトバンク戦から試合続けて回無失点に抑えた裏には、ニールを通じた学びがあった。

「リリースの時にどうしても右腰が出てきちゃう癖がずっとあって、いい練習方法がないかと探していたんです。そのとき、ニールが何か腰にチューブを巻く道具を使っているなと思い出しました。『どういう意図で使っているの?』と聞いてトライしてみたところ、試合続けていい結果が出ています」
 
 ニールが使っているのはコア・ベロシティ・ベルト(Core Velocity Belt)という道具で、伸縮性のあるロープを腰に巻いて使用し、投球時のバランスなどを調整することができるものだ。日本よりトレーニングが進んでいるアメリカで徐々に浸透し始め、ニールはドジャースに在籍していた昨年知ったという。

 一方、「外国のいい文化を取り入れたい」と常々考えている十亀は英単語をつなげるだけでもいいからと、ニールと直接コミュニケーションを取り、大きなヒントを発見した。

ニールは投球時に右足でしっかり立って、身体の左側が前に出て行く時に右腰もしっかり前に出てきてほしいと言っていました。だから右足で立って体重を残し、そこから右腰をグッと前に出せるように、身体に意識させる目的でこのチューブの練習をしていると。そこで僕は逆に、『ニールは腰を出すってことは、腰が残っているということだ』と思ったんです」
 
 十亀の場合、右腰が早く前に出すぎるため、上半身が開きすぎてシュート回転するクセがあった。それをニールの言葉をヒントに
コア・ベロシティ・ベルトで練習して右腰を残せるようにし、球質を改善して大事なシーズン最後の2試合で好投した。英語力は「聞けるけど、言葉が出てこない」というくらいだが、それでも直接話そうという意欲が生きた格好だ。


「どういう心の持ちようでやっているかなど、ニールといろいろディベートしました」


 
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「日本でプレーすることが夢だった」ニールの貪欲さ