歴史に新たな１ページが刻まれた。

　マイアミ・マーリンズは現地時間13日、空位だったＧＭ（ジェネラル・マネージャー）として、過去９年間MLB.comのベースボール・オペレーション副社長を務めていたキム・アン氏を採用したと発表した。これにより、球界初の女性ＧＭが誕生することとなった。

　アン氏はこれまでサンディエゴ・パドレス、ロサンゼルス・ドジャースなど４球団以上でＧＭ面接を受けてきたが、ついにその職を得た形だ。中国系アメリカ人の同氏はまた、アジア系アメリカ人初のＧＭという点でも快挙を成し遂げている。就任に伴い、アン氏は「インターンとしてMLBの門戸を叩いてから20年以上、私はマーリンズのＧＭとなるという最大の喜びを味わっています」と安堵の表情を浮かべつつも、大いなる目標を口にした。
  「これは軽く扱えない挑戦となります。私が球界で仕事をするようになった時、女性がメジャー球団の編成を率いるなんて不可能なように思えました。ですが、私は目標を叶えるために辛抱強く頑張ってきました。私の最大の目標とは、マイアミに世界一をもたらすことです。我々のファンが期待し、また値するであろう勝利のカルチャーを築き上げ続けるために、恐縮ですが熱心に取り組みます」と、マーリンズファンに誓った。

　そして、アン氏の登用を決めた殿堂入りの名選手にして現在、マーリンズのCEOを務めているデレク・ジーターも「アンのリーダーシップは、我々の持続的な成功に向けて大きな役割を果たすでしょう」とコメント。そして、「彼女の若者世代への野球とソフトボールに関する広範囲の取り組みも、ファンの関心を育むことに寄与するはずです」として、MLB機構で若者向けの野球イベントを数々取り仕切ってきた実績面も評価していたようだ。

　アン氏がこじ開けた「女性初ＧＭ」という業績は計り知れないものがある。これはひとえに、彼女の実績が正当に評価されたことを意味している。今年、サンフランシスコ・ジャイアンツがメジャー初の女性コーチとしてアリッサ・ナッキンを起用するなど、「球界の女性進出」が加速しつつある。球界で働く多くの女性、そして今後球界で働くことを目指す女性にとっても、アン氏のＧＭ就任は大きなメッセージとなったのではないか。

構成●SLUGGER編集部