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MLB

マリナーズ史上初の新人王、“ミスター・マリナー”ことアルビン・デービスの横顔

宇根夏樹

2020.11.21

ルイス以前のマリナーズの新人王にはいずれもNPBでのプレー経験があり、1人目であるデービス(写真)も近鉄に在籍したことがある。(C)Getty Images

ルイス以前のマリナーズの新人王にはいずれもNPBでのプレー経験があり、1人目であるデービス(写真)も近鉄に在籍したことがある。(C)Getty Images

 2020年のア・リーグ新人王には、マリナーズのカイル・ルイスが選ばれた。センターのレギュラーとして58試合に出場し、11本塁打と四球率14.0%を記録したルイスは、アルビン・デービス(1984年)、佐々木主浩(00年)、イチロー(01年)に続くマリナーズ史上4人目の新人王だ。

 マリナーズ歴代新人王のうち、佐々木とイチローが日本プロ野球史上屈指のレジェンドであることは今さら言うまでもないが、実はデービスも日本でプレーしている。92年6月にエンジェルスから解雇された後、近鉄に入団。40試合に出場し、一塁手&DHとして、打率.275、5本塁打、12打点を記録した。当時の近鉄にはラルフ・ブライアントがいたこともあってあまり目立たなかったが、西武ファンはデービスのことを覚えているかもしれない。5本塁打中4本を西武戦で放ち、しかも最初の3本は、この年最高勝率のタイトルを獲得する石井丈裕から打ったものだ。そして、この年を最後にデービスはユニフォームを脱いだ。

 マリナーズ時代の8年間も、タイトルには縁がなかった。オールスターに選ばれたのも、新人王を受賞したメジャー1年目だけだ。けれども、デービスは“ミスター・マリナー”として地元ファンに親しまれ、今も忘れられていない。
 
 デービスがデビューした84年のマリナーズは、創設8年目。それまで勝ち越したシーズンは一度もなく、連続負け越し記録は結局90年まで続いた。デービスはそんな弱小球団の一条の光明だった。30本塁打に達したシーズンはなかったが、1年目の出塁率.391を皮切りに、7年続けて.370以上を記録。84年と88~89年には、地元記者から球団MVPに選ばれた。

 今年4月にマリナーズのオフィシャル・ブログが掲載したインタビューの中で、デービスはキャリアで最も思い出深い瞬間を聞かれ、86年8月の2試合連続サヨナラ本塁打ではなく、「1991年に82勝目を挙げた試合は、チームにとって重要なマイルストーンだった。球団史上初のシーズン勝ち越しを決めたんだ」と答えている。自身のことではなくチームの記念すべき日を挙げるあたり、ファンから愛される理由がわかるだろう。

 ケン・グリフィーJr.やエドガー・マルティネス、ランディ・ジョンソンらニューヒーローの台頭と入れ替わるように、デービスはマリナーズを去った。この3人とは違い、デービスはクーパーズタウンの殿堂には入っていないが、97年にマリナーズの球団殿堂へ最初の1人として迎えられた。その時、始球式でデービスの球を受けたグリフィーJr.は言った。「別の“ミスター・マリナー”が出てくると思うかい? それはないね。アルビンはオリジナルでオンリーワンさ」。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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