専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

メッツの新オーナーはインサイダー取引の過去を持つヘッジファンドの帝王

SLUGGER編集部

2020.12.04

全米でも屈指の富豪として知られるコーエン。愛するメッツを1986年以来のワールドチャンピオンに導けるだろうか。(C)Getty Images

全米でも屈指の富豪として知られるコーエン。愛するメッツを1986年以来のワールドチャンピオンに導けるだろうか。(C)Getty Images

 MLBに、久々に“大物オーナー”が登場した。先日、メッツ買収が承認され、正式にオーナーとなったスティーブ・コーエンのことだ。

 1956年生まれのコーエンは現在64歳。自ら率いたヘッジファンドで巨万の富を築き、2016年には『フォーブス誌』で全米30位の富豪に数えられたこともある。総資産は145億ドル、日本円にしておよそ1兆5000億円(!)にも達すると言われ、これはMLB全30球団のオーナーの中でもダントツ。莫大な資金力を背景に、今後は積極的な補強を敢行するとみられている。これまで、人気でも実績でもずっとヤンキースの後塵を拝してきたメッツファンは“救世主”としてコーエンに期待を寄せているのだ。

 コーエン自身、幼い頃からメッツファンだったということも、ニューヨーク市民からすればポイントが高い。ロングアイランドで育ったコーエンは地下鉄で前本拠地のシェイ・スタジアムに足繁く通い、最上階席に陣取ってメッツに声援を送っていたという。

 最近、メッツファンをさらに喜ばせる出来事があった。1986年のワールドシリーズ第6戦でメッツがサヨナラ勝ちした際のボールを、コーエンが所有していることが明らかになったのだ。
 
 レッドソックスに3勝2敗と王手をかけられていたこの第6戦、延長10回表に2点を勝ち越されたメッツはその裏、2死走者なしというまさに土壇場から反撃を開始。3連打と相手のワイルドピッチで同点とすると、続くムーキー・ウィルソンの何でもないゴロをレッドソックスの一塁手ビル・バックナーがまさかのトンネル。サヨナラ勝ちで第6戦に逆転勝ちしたメッツは続く第7戦にも勝って、球団史上2度目のワールドチャンピオンを達成した。

 この試合でウィルソンが打ったボールは92年に俳優のチャーリー・シーンが9万3000ドルで購入。その後、ソングライターのセス・ソワースキーを経て12年にコーエンが密かに買い取っていた。当時は名を伏せていたコーエンだが、このたびのオーナー就任に伴い持ち主であることを名乗り出た。ボールはメッツの博物館に寄贈されるそうだ。
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号