打率は2割にすら届かず、せっかくのワールドシリーズの大舞台でも控えに回って3打席ノーヒット。この結果だけを見たら、筒香のメジャー1年目は大失敗だったようにも思える。実際、 米メディア『ブリーチャー・リポート』でも「チームの足枷になっている選手」に選ばれてしまった。
確かに成功だったとはお世辞にも言えない。だが、完全な失敗と決めつけるのも早計だ。51試合に出て8本塁打、24打点は、いずれもア・リーグ優勝を果たしたチームにあって2番目だったと知れば、見方も多少変わるのではないか。通常の162試合シーズンなら本塁打は21.6本だった計算。過去、日本人打者で1年目から20本塁打を超えたのは2018年の大谷翔平(エンジェルス/22本)だけで、筒香は2人目になるペースだったのだ。
また、初速95マイル(153キロ)以上の打球割合を示すハードヒット率は47.2%もあって、これはリーグで18番目の高水準。首位打者&OPSリーグトップのDJ・ラメイヒューや、本塁打王のルーク・ボイト(ともにヤンキース)を上回る頻度で強い打球を飛ばしていた。四球率14.1%と選球眼も優秀で、出塁率.314は打率より1割以上高かった。
そもそも、レイズは当初から筒香が日本時代のように主軸として打ちまくる、と考えてはいなかったはずだ。もちろん、そうなってくれれば万々歳だったろうが、位置付けとしては「右投手相手に先発出場するプラトーン要員」。ここまでの低打率は計算外だったとしても、左打席からパワーを提供するという期待には応えられていた。守備も左翼では合格点、経験の少ない三塁も14試合守り、上手くはないが全然駄目というほどでもなかった。
もちろん、明白な課題もある。以前から不安視されていた速球への対応は、キャンプの段階ですでに「マイナーリーガーの球にも苦しんでいるみたいだが、大丈夫なのか」と心配されていた。実際、対4シームの打率は.154どまり。カーブ、チェンジアップなど緩い球は問題なく打てていたので、来季はこの点の改善に重点的に取り組む必要がある。
シーズン終了後、自身のSNSで「課題も見えてきたが、それもチャレンジしたからこそ」と前向きに振り返った。人一倍研究熱心な筒香なら、その課題を乗り越えられるはずだ。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――"裏歴史の主人公たち"」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。
【PHOTO】ダルビッシュ、大谷、マエケン!メジャーリーグで活躍する日本人選手を一挙紹介!
確かに成功だったとはお世辞にも言えない。だが、完全な失敗と決めつけるのも早計だ。51試合に出て8本塁打、24打点は、いずれもア・リーグ優勝を果たしたチームにあって2番目だったと知れば、見方も多少変わるのではないか。通常の162試合シーズンなら本塁打は21.6本だった計算。過去、日本人打者で1年目から20本塁打を超えたのは2018年の大谷翔平(エンジェルス/22本)だけで、筒香は2人目になるペースだったのだ。
また、初速95マイル(153キロ)以上の打球割合を示すハードヒット率は47.2%もあって、これはリーグで18番目の高水準。首位打者&OPSリーグトップのDJ・ラメイヒューや、本塁打王のルーク・ボイト(ともにヤンキース)を上回る頻度で強い打球を飛ばしていた。四球率14.1%と選球眼も優秀で、出塁率.314は打率より1割以上高かった。
そもそも、レイズは当初から筒香が日本時代のように主軸として打ちまくる、と考えてはいなかったはずだ。もちろん、そうなってくれれば万々歳だったろうが、位置付けとしては「右投手相手に先発出場するプラトーン要員」。ここまでの低打率は計算外だったとしても、左打席からパワーを提供するという期待には応えられていた。守備も左翼では合格点、経験の少ない三塁も14試合守り、上手くはないが全然駄目というほどでもなかった。
もちろん、明白な課題もある。以前から不安視されていた速球への対応は、キャンプの段階ですでに「マイナーリーガーの球にも苦しんでいるみたいだが、大丈夫なのか」と心配されていた。実際、対4シームの打率は.154どまり。カーブ、チェンジアップなど緩い球は問題なく打てていたので、来季はこの点の改善に重点的に取り組む必要がある。
シーズン終了後、自身のSNSで「課題も見えてきたが、それもチャレンジしたからこそ」と前向きに振り返った。人一倍研究熱心な筒香なら、その課題を乗り越えられるはずだ。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――"裏歴史の主人公たち"」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。
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