タンパベイ・レイズの筒香嘉智は現地時間24日、本拠地で行われたトロント・ブルージェイズ戦に「5番・DH」で先発出場すると、2回の第1打席に右翼席へ4号ソロアーチを放った。チームは4対6で敗れたものの全打席で出塁。シーズン半分の30試合を終え、打率.178、4本塁打、15打点、出塁率.299、OPS.669で“前半戦”を折り返した。
ここまでの成績は、本人もファンも納得するものではないだろう。DeNAでは2014年から6年連続22本塁打、昨季を除いて毎年OPS.900以上を記録してきた。侍ジャパンの4番も務めた大砲が果たして、メジャーで苦しんでいる要因は、“予想通り”「速球」である。
日本時代から筒香は「150キロ以上の速球が打てない」と言われてきた。実際、44本塁打&110打点で二冠王を獲得した2016年、筒香の150キロ以上の打率は1割台前半だったとのデータがある。もっとも、これは逆に言えば、その球速帯よりも遅ければ対応できているとも言えるわけで、150キロ以下の速球、さまざまな変化球への柔軟な対応力が、筒香の強みとも言い換えられるかもしれない。
昨年、日本プロ野球の先発投手のストレートの平均球速は143.2キロ、救援投手は145.6キロだった。一方でMLBでは、それぞれ150.0キロ(93.2マイル)、151.6キロ(94.2マイル)と、俗に言う大台を平均で計測している。やはり、と言うべきか、今季筒香が「メジャーの平均速球」に苦戦しているのは、ここまでの全安打の内訳からも見えてくる。
【筒香の全安打内訳】※先頭()内の数字が安打数
(1)本塁打/4シーム/89マイル(143.2キロ)
(2)単打/カーブ/74.9マイル(120.5キロ)
(3)単打/カーブ/81.1マイル(130.5キロ)
(4)単打/スライダー/81.6マイル(131.3キロ)
(5)単打/4シーム/92.2マイル(148.4キロ)
(6)二塁打/スプリッター/87.8マイル(141.3キロ)
(7)単打/シンカー/90.2マイル(145.2キロ)
(8)本塁打/カッター/88.3マイル(142.1キロ)
(9)単打/スライダー/80.3マイル(129.2キロ)
(10)単打/カッター/90.9マイル(146.3キロ)
(11)本塁打/スプリッター/87マイル(140.0キロ)
(12)二塁打/4シーム/94.4マイル(151.9キロ)
(13)本塁打/4シーム/90.6マイル(145.8キロ)
安打の内訳を見ると、さまざまな球種からヒットを放つなど筒香らしい対応力を見せている反面、“150キロ超”の速球から快音を飛ばしたのは12安打目(8月16日のブルージェイズ戦)が唯一。デビュー戦で昨年のナ・リーグ最優秀防御率を獲得したリュ・ヒョンジンからメジャー初安打を本塁打で飾ったが、この時も打ったのは143キロの速球と、得意なボリュームゾーンだった。
そして24日の試合で今季4号を放った際、敵地放送局の解説者は「ツツゴウは速球に上手く対応できていません。(今回は)4シームを捉えましたが、(先発投手のタナー・)ロアークには、ツツゴウが問題を抱えている球速がありませんからね」と冷静な分析をしていた。相手のTVクルーにすらも、メジャー1年目の筒香が150キロ超のボールを苦手としていることが周知の事実となっているようである。
今後、筒香が成績を浮上させるためには、“MLB平均”の150キロ前後の速球への対応が不可欠となる。地区優勝争いを演じるニューヨーク・ヤンキースには、平均155キロ超の本格派エースのゲリット・コール、世界最速投手のアロルディス・チャップマンをはじめ豪腕が揃っている。筒香が課題を克服できるかどうかは、レイズの今後にも関わるキーファクターと言えるだろう。
ただ幸い、24日の試合で本塁打後の3打席をすべて四球で出塁するなど、四球率13.8%はア・リーグ13位に相当し、ボールの見極めに関しては優秀と言っていい。また、平均打球速度やハードヒット%(強い打球を打てた割合)もMLB平均を大きく上回っており、随所に“ハマの大砲”の片鱗を見せている。
データを駆使して選手を“魔改造”させることに定評のあるレイズ。彼らの『育成力』によって筒香が“進化”できるのか、大変興味深い。
構成●SLUGGER編集部
ここまでの成績は、本人もファンも納得するものではないだろう。DeNAでは2014年から6年連続22本塁打、昨季を除いて毎年OPS.900以上を記録してきた。侍ジャパンの4番も務めた大砲が果たして、メジャーで苦しんでいる要因は、“予想通り”「速球」である。
日本時代から筒香は「150キロ以上の速球が打てない」と言われてきた。実際、44本塁打&110打点で二冠王を獲得した2016年、筒香の150キロ以上の打率は1割台前半だったとのデータがある。もっとも、これは逆に言えば、その球速帯よりも遅ければ対応できているとも言えるわけで、150キロ以下の速球、さまざまな変化球への柔軟な対応力が、筒香の強みとも言い換えられるかもしれない。
昨年、日本プロ野球の先発投手のストレートの平均球速は143.2キロ、救援投手は145.6キロだった。一方でMLBでは、それぞれ150.0キロ(93.2マイル)、151.6キロ(94.2マイル)と、俗に言う大台を平均で計測している。やはり、と言うべきか、今季筒香が「メジャーの平均速球」に苦戦しているのは、ここまでの全安打の内訳からも見えてくる。
【筒香の全安打内訳】※先頭()内の数字が安打数
(1)本塁打/4シーム/89マイル(143.2キロ)
(2)単打/カーブ/74.9マイル(120.5キロ)
(3)単打/カーブ/81.1マイル(130.5キロ)
(4)単打/スライダー/81.6マイル(131.3キロ)
(5)単打/4シーム/92.2マイル(148.4キロ)
(6)二塁打/スプリッター/87.8マイル(141.3キロ)
(7)単打/シンカー/90.2マイル(145.2キロ)
(8)本塁打/カッター/88.3マイル(142.1キロ)
(9)単打/スライダー/80.3マイル(129.2キロ)
(10)単打/カッター/90.9マイル(146.3キロ)
(11)本塁打/スプリッター/87マイル(140.0キロ)
(12)二塁打/4シーム/94.4マイル(151.9キロ)
(13)本塁打/4シーム/90.6マイル(145.8キロ)
安打の内訳を見ると、さまざまな球種からヒットを放つなど筒香らしい対応力を見せている反面、“150キロ超”の速球から快音を飛ばしたのは12安打目(8月16日のブルージェイズ戦)が唯一。デビュー戦で昨年のナ・リーグ最優秀防御率を獲得したリュ・ヒョンジンからメジャー初安打を本塁打で飾ったが、この時も打ったのは143キロの速球と、得意なボリュームゾーンだった。
そして24日の試合で今季4号を放った際、敵地放送局の解説者は「ツツゴウは速球に上手く対応できていません。(今回は)4シームを捉えましたが、(先発投手のタナー・)ロアークには、ツツゴウが問題を抱えている球速がありませんからね」と冷静な分析をしていた。相手のTVクルーにすらも、メジャー1年目の筒香が150キロ超のボールを苦手としていることが周知の事実となっているようである。
今後、筒香が成績を浮上させるためには、“MLB平均”の150キロ前後の速球への対応が不可欠となる。地区優勝争いを演じるニューヨーク・ヤンキースには、平均155キロ超の本格派エースのゲリット・コール、世界最速投手のアロルディス・チャップマンをはじめ豪腕が揃っている。筒香が課題を克服できるかどうかは、レイズの今後にも関わるキーファクターと言えるだろう。
ただ幸い、24日の試合で本塁打後の3打席をすべて四球で出塁するなど、四球率13.8%はア・リーグ13位に相当し、ボールの見極めに関しては優秀と言っていい。また、平均打球速度やハードヒット%(強い打球を打てた割合)もMLB平均を大きく上回っており、随所に“ハマの大砲”の片鱗を見せている。
データを駆使して選手を“魔改造”させることに定評のあるレイズ。彼らの『育成力』によって筒香が“進化”できるのか、大変興味深い。
構成●SLUGGER編集部