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筒香嘉智が提示した「日米の野球の違い」。その根底にある“スポーツマンシップ“を日本球界はどう考えるべきか〈SLUGGER〉

中島大輔

2021.02.01

筒香は「スポーツ界はもう1度、スポーツマンシップの重要性を考えていかないといけない」と警鐘を鳴らす。(C)Getty Images

 全国で新型コロナウイルスの猛威が続くなか、沖縄県と宮崎県でプロ野球の春季キャンプが始まった。例年と大きく異なるのが、無観客のため選手とファンが交流できないことだ。

 一方、2月中旬に始まるMLBのスプリング・トレーニングはキャンプ地のフロリダ、アリゾナの感染拡大を受けて雲行きが怪しいが、渡米を控えるレイズの筒香嘉智は1月31日、ファンと交流できればと100人の指導者や保護者とオンラインイベントを実施。参加者から寄せられた質問に回答していくなか、特に印象深かったのが「日米の野球の違い」について聞かれた際の答えだった。

「メジャーではキャンプの全体練習前にみんな個人で練習していますが、集中力が日本の選手より格段にあるなと感じました。あと、海外の選手は"強さ"もあります。それは体の部分ではなく、心の面です。本気で取り組んでいる証だなと、すごく感じることがありました」
 
 日米で異なる"心の強さ"はどこから来ているのか。筒香に聞くと、あくまで自分の感覚とした上でこう答えた。

「自然に生まれてきた"強い選手"もいますし、"強さをつくっている選手"もいると感じました。"つくっている強さ"というのは強そうに見えるけど、じつは弱くて脆いものだなと。"自然に生まれてくる強さ"は本当の意味で強く、ブレない。また、柔軟な心も持っていると感じます。その強さというのは、育った環境、すごしてきた環境で大きく変化するものだと思いますが、最後は自分が日々考えていること、頭の中にあることが本当の強さをつくるのではと思います」

 毎年オフになると、野球界や子どもたちの未来に向けて積極的にメッセージを発信してきた筒香。今年特に伝えたかったテーマは、じつは"心の強さ"と根底で通じている。スポーツマンシップだ。

「最近改めて感じていることですが、スポーツ界はもう1度、スポーツマンシップの重要性を考えていかないといけない。スポーツは、深くて大切な要素がたくさん入っているものだと感じています」

 日本はスポーツマンシップの欠如を指摘されることがままあり、とりわけ野球界は国際大会で非難を浴びてきた。サイン盗みや、大量得点差での送りバント、盗塁などだ。怒りを買った相手チームから報復に遭い、物議を醸したケースも珍しくない。