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MLB

タイブレーク制継続に“飛ばないボール”採用――2021年MLBのルール変更を総ざらい

宇根夏樹

2021.02.18

近年のMLBは“フライボール革命”の浸透により、総本塁打数が18、19年に2年連続で最多記録を更新。そのためMLB機構は飛ばないボールの採用に踏み切ったようだ。(C)Getty Images

近年のMLBは“フライボール革命”の浸透により、総本塁打数が18、19年に2年連続で最多記録を更新。そのためMLB機構は飛ばないボールの採用に踏み切ったようだ。(C)Getty Images

 60試合に短縮された昨シーズンと違い、今シーズンは例年通り162試合が行われる予定だ。ポストシーズン進出も、昨シーズンの1リーグ8チーム(計16チーム)から従来の5チーム(計10チーム)に戻る。MLB機構が提案したシーズン154試合と1リーグ7チーム(計14チーム)によるポストシーズンは、選手会に拒否された。2月17日のキャンプインに続き、問題が起きなければ4月1日に開幕を迎える。全チームが一斉に開幕する予定で、これは1968年以来53年ぶりとなる。

 ちなみに、MLB機構のポストシーズン進出案は、各地区優勝の3チーム+ワイルドカードの4チームだった。昨年は各地区優勝の3チームと各地区2位の3チームにワイルドカードの2チームがポストシーズンに進出した。昨年の結果をMLB機構案に当てはめると、どちらも29勝31敗のブルワーズ(ナ・リーグ)とアストロズ(ア・リーグ)がポストシーズンを逃す。アストロズはリーグ優勝決定シリーズまで進出しているが、この条件であればそもそもチャンスすらなかったことになる。

 また、今シーズンの進出条件であれば、この2チームに加え、ナ・リーグはともに31勝29敗のレッズとマーリンズ、ア・リーグは33勝27敗のヤンキースと32勝28敗のブルージェイズが、ポストシーズンへ進むことはできなかったことになる。
 
 両リーグがDHを採用する「ユニバーサルDH」も継続しない。DH制の試合は、再びア・リーグとア・リーグのチームがホームのインターリーグのみとなる。ただ、今季限りで労使協定が満了するので、新たな交渉の席ではポストシーズン進出チーム数とユニバーサルDH案が改めて議題に上ると思われる。

 一方、7イニング制のダブルヘッダーと、延長戦でのタイブレーク(どのイニングも無死二塁からスタート)は引き続き施行される。野手の登板にも規制はかからず、点差やイニングを問わず、いつでも投げることができる。

 また、今シーズンはこれまでよりも飛ばないボールを使用するようだ。『ジ・アスレティック』などの報道によると、MLB機構から各球団に通達が出ているという。この新使用球は、芯に巻く糸を従来よりも緩めることによって反発係数を低下させる。375フィート(約114メートル)以上飛んだ場合の飛距離は、1~2フィート(約30~60センチ)短くなるという。ボールの重量は2.8g軽くなるが、大きさはそのまま。投球の球速に影響はないとしているが、変化球の曲がり幅が増減するのかについては触れられていない。ホームランの出過ぎを抑える目的らしいが、どれほどの効果があるのかは不明だ。

 さまざまな変更が加えられたMLBの今季開幕まで、あと40日あまり。何はともあれ、無事に開幕を迎え、レギュラーシーズンとポストシーズンが予定どおりに行われることを祈りたい。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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