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【担当記者が見た大谷翔平】好調の秘訣は下半身? フィジカル強化が二刀流復活の土台となるか

斎藤庸裕

2021.03.13

投手としては故障、打者としては不振に苦しんだ昨季のリベンジを狙う。写真:REUTERS/AFLO

 コロナ禍でスプリング・トレーニングが始まって約1カ月。二刀流で再起を賭ける大谷翔平(エンジェルス)が、開幕へ向けて着々と状態を上げている。感染予防のため、アリゾナ州テンピのキャンプ地では報道陣は練習を間近で見ることができない。キャンプイン2日目の2月18日、球団が撮影したブルペン投球の動画で、大谷の姿を確認した。がっちりした下半身。まず第一印象で昨季との違いを感じた。当日のZoom会見で大谷が明かした。

「特にということはないですけど、体重的には元に戻ったのかなと思います。特に下半身は。去年はヒザのリハビリがメインだったので、強化するというのではなかった。しっかり下半身はできたのかなと」

 体重は例年のキャンプ時より約7キロ増えていた。メジャー1年目の映像と比べても、とにかく体の芯が太い。昨年11月の時点ですでに100キロを越えていたという。昨年オフから継続してきたフィジカル強化のた賜物だった。下半身の土台作りと言えば、地道なランニングをイメージしてしまうが、大谷は違った。

「走るのは主にスプリント(瞬発系)しかやっていないので、基本的に長距離を走ることはないです。ジャンプ、スプリント、ウエート・トレーニング、そういうものがメインかなと思いますね」
 
 確かに、昨年の投手調整を振り返ると、グラウンド上で長距離をランニングすることはなかった。さまざまなトレーニング理論があり、選手の考え方もそれぞれ。練習の取り組み方にも多様性がある時代だ。もちろん、有酸素運動を怠っている訳ではなく、大谷もバイクトレーニングなどは継続して行っている。

 打者に専念した19年は打率.286、18本塁打、62打点の結果を残した。数字としては十分だが、長打を期待される中、打球が上がらず、本塁打は1年目と比較して4本少なかった。投手復帰を果たした昨季は右前腕を故障し、打者でも結果が出なかった。投打で苦しむシーズンとなった。

「一番はトレーニングができないので、体重の維持とかが難しかったなと。特に去年は体重も落ちていたし、そういうのもあったかなと思います」

 もちろん技術的な課題もあったが、それよりも身体的な面での不足が結果に影響していたのだろう。ただでさえ、投打での負担が大きい二刀流。現在は手術した患部の不安も消えつつある。万全の状態が、今季の巻き返しを予感させる。

文●斎藤庸裕

【著者プロフィール】
さいとう・のぶひろ。1983年、埼玉県生まれ。日刊スポーツ新聞社でプロ野球担当記者を務めた後サンディエゴ州立大学でスポーツビジネスを学ぶ。2018年から大谷翔平の担当記者を務める。日刊スポーツでコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」を配信中。

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