「現時点でケンタ以外はあり得ない。正しい選択だった」
ミネソタ・ツインズのロッコ・バルデリ監督は4月1日(日本時間2日)に行われるミルウォーキー・ブルワーズとの今季開幕戦で、先発投手に前田健太を指名したことについてそう話した。
「開幕投手ができるのはチームに1人だけなので、僕にとっては特別な日だと思っています」
メジャーで初めて栄光のマウンドを託される前田健太は、自身のYouTubeチャンネルで喜びをそう明かしている。
過去2年はオールスターに2度の出場歴を誇るホゼ・ベリオスが務めてきたが、今年は前田が抜擢された。昨年の11試合に登板して6勝1敗、防御率2.70、リーグトップのWHIP(1イニングあたりに許した走者数)0.75という好成績を残し、サイ・ヤング賞候補にノミネート。今年のオープン戦でも好投を続け、総合的に評価された格好だ。
前田が開幕投手を務めるのは、日本時代を含めて6度目になる。初めて任されたのは2010年。当時の広島には大竹寛(現巨人)というエースがいるなか、前田は春季キャンプから同年の目標について「開幕投手」と言い続けた。すると大竹が右肩の違和感で出遅れたこともあり、高卒4年目の前田に大役が回ってきた。オープニングゲームで中日打線を8回1失点に抑えて勝利を飾ると、15勝を挙げて最多勝を飾っている。
当時について、前田はこう振り返った。
「『開幕投手をやりたい』と言っていたからこそ、大竹さんがケガをしたとき、『じゃあマエケンに託そう』となったのかなと思っています。言っていて良かったなと、そのときには思いました」
自らの思いを言葉で表現し、有言実行する。そうした姿勢は前田の強みだ。去年の活躍の裏にも、強い意思があった。
2015年オフにポスティングシステムで移籍したドジャースでは、1年目から16勝11敗、防御率3.48の成績を残したが、2年目以降はシーズン途中からリリーフに回ることが続いた。契約条件との兼ね合いも考えられ、前田にとって不本意な起用法だった。
すると2019年オフ、前田はトレードを志願する。メジャー屈指の戦力を誇るドジャースから離れる選択について、前田はこう説明した。
「この移籍は僕にとってすごくプラス。なぜこの話が起こったかは、じつは僕が先発したいという言葉をドジャースに伝えました。もしトレードの可能性があるなら、それは前向きに考えたい」
悔いのないメジャーリーグ生活を送りたい――。湧き上がる思いの先には、明確な目標がある。
「僕の中では先発ピッチャーとしてのプライドがあって、先発として自分自身のキャリアを終えたい。先発として200勝を達成したいという大きな目標があった」
コロナ禍で難しい調整を強いられた2020年。ツインズに加入した前田はメジャー屈指の安定感を誇り、6勝を挙げた。14年間のプロ生活で日米通算150勝。投手として脂の乗っている32歳にとって、目標の大記録は射程圏内だ。
グラウンドを離れれば、気さくな人柄で周囲を楽しませる前田。注目の開幕戦まで1週間を切った3月28日には、オンラインでファンに向けてメッセージを発信するという。サイ・ヤング賞候補にノミネートされた昨季の飛躍を経て、今季は何を語り、何を見据えてマウンドに登るのか。前田の新シーズンのピッチングが今から楽しみだ。
文●中島大輔
ミネソタ・ツインズのロッコ・バルデリ監督は4月1日(日本時間2日)に行われるミルウォーキー・ブルワーズとの今季開幕戦で、先発投手に前田健太を指名したことについてそう話した。
「開幕投手ができるのはチームに1人だけなので、僕にとっては特別な日だと思っています」
メジャーで初めて栄光のマウンドを託される前田健太は、自身のYouTubeチャンネルで喜びをそう明かしている。
過去2年はオールスターに2度の出場歴を誇るホゼ・ベリオスが務めてきたが、今年は前田が抜擢された。昨年の11試合に登板して6勝1敗、防御率2.70、リーグトップのWHIP(1イニングあたりに許した走者数)0.75という好成績を残し、サイ・ヤング賞候補にノミネート。今年のオープン戦でも好投を続け、総合的に評価された格好だ。
前田が開幕投手を務めるのは、日本時代を含めて6度目になる。初めて任されたのは2010年。当時の広島には大竹寛(現巨人)というエースがいるなか、前田は春季キャンプから同年の目標について「開幕投手」と言い続けた。すると大竹が右肩の違和感で出遅れたこともあり、高卒4年目の前田に大役が回ってきた。オープニングゲームで中日打線を8回1失点に抑えて勝利を飾ると、15勝を挙げて最多勝を飾っている。
当時について、前田はこう振り返った。
「『開幕投手をやりたい』と言っていたからこそ、大竹さんがケガをしたとき、『じゃあマエケンに託そう』となったのかなと思っています。言っていて良かったなと、そのときには思いました」
自らの思いを言葉で表現し、有言実行する。そうした姿勢は前田の強みだ。去年の活躍の裏にも、強い意思があった。
2015年オフにポスティングシステムで移籍したドジャースでは、1年目から16勝11敗、防御率3.48の成績を残したが、2年目以降はシーズン途中からリリーフに回ることが続いた。契約条件との兼ね合いも考えられ、前田にとって不本意な起用法だった。
すると2019年オフ、前田はトレードを志願する。メジャー屈指の戦力を誇るドジャースから離れる選択について、前田はこう説明した。
「この移籍は僕にとってすごくプラス。なぜこの話が起こったかは、じつは僕が先発したいという言葉をドジャースに伝えました。もしトレードの可能性があるなら、それは前向きに考えたい」
悔いのないメジャーリーグ生活を送りたい――。湧き上がる思いの先には、明確な目標がある。
「僕の中では先発ピッチャーとしてのプライドがあって、先発として自分自身のキャリアを終えたい。先発として200勝を達成したいという大きな目標があった」
コロナ禍で難しい調整を強いられた2020年。ツインズに加入した前田はメジャー屈指の安定感を誇り、6勝を挙げた。14年間のプロ生活で日米通算150勝。投手として脂の乗っている32歳にとって、目標の大記録は射程圏内だ。
グラウンドを離れれば、気さくな人柄で周囲を楽しませる前田。注目の開幕戦まで1週間を切った3月28日には、オンラインでファンに向けてメッセージを発信するという。サイ・ヤング賞候補にノミネートされた昨季の飛躍を経て、今季は何を語り、何を見据えてマウンドに登るのか。前田の新シーズンのピッチングが今から楽しみだ。
文●中島大輔