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プロ野球

猛虎の“大型プロスペクト”佐藤輝明の可能性やいかに!?オープン戦から探る理想の起用法と将来像

チャリコ遠藤

2021.03.25

オープン戦で本塁打王となった佐藤輝明。この若き大砲の活躍が、今季の矢野タイガースの命運を握っているのは間違いない。 写真:山手琢也

オープン戦で本塁打王となった佐藤輝明。この若き大砲の活躍が、今季の矢野タイガースの命運を握っているのは間違いない。 写真:山手琢也

 期待と夢の詰まった“風船”は膨らんだまま、初陣に辿り着いた。

 阪神タイガースのドラフト1位、佐藤輝明の見せた今春のパフォーマンスは周囲の予想を良い意味で覆し続けた。オープン戦では6本塁打を放ち、ドラフト制以降では史上初となる新人での本塁打王となった。猛虎待望の大型プロスペクトの登場だ。

 本格的にシーズンが始まれば、これまで以上の厳しい攻めが予想される。2月のキャンプ中から背番号8に徹底したマークを敷いてきた各球団のスコアラーが集めてきたデータをもとに弱点もあぶり出されていくだろう。

 対左、内角攻め、変化球への対応など、すでに課題はある。当然、洗礼も待っているだろうし、壁にもぶつかるだろう。ただ、佐藤が“ホンモノ”と感じさせる場面を今春に何度も見せてきたことも事実だ。

 最も衝撃的かつプロでの飛躍を感じさせたのが、3月12日に本拠地甲子園で行なわれた西武戦。相手の開幕投手である高橋光成から放った一発だった。

 シュート回転で内角から真ん中寄りに入った146キロの直球を捉えた打球は左翼スタンドに着弾した。この時、左翼から右翼方向への「逆風」が吹いていた。
 
 甲子園は左翼方向への強烈な浜風が特長で、それは左打者の長距離砲には、憎らしい存在。だが、この時に佐藤が放った鮮やかな放物線を描いた一発は、自身に降りかかるであろう難題への“一発回答”となった。

 強風にも負けないパワーを見せつけたうえに、真ん中から外寄りのボールを逆方向へスタンドインさせる技術も誇示した佐藤。オープン戦で放った6本のうち、実に4本がレフトから中堅方向という結果は、バッティングセンスが確かなものだという証明にもなった。

 では、気になる1年目のスタッツはどうなるのか。近年の阪神の新人野手では大山悠輔が7本塁打(17年)を放ち、16年に坪井智哉が記録していた球団新人最多安打を塗り替え、新人王を獲得した高山俊が136安打を放っている。

 大山は経験を積ませるべく開幕を2軍で迎えたために75試合の出場にとどまり、そもそも高山はバッターとしてのタイプが違うために単純比較はできないが、佐藤は1年を通して1軍で出場を続ければ、本塁打20~25本を期待できるポテンシャルはある。

 また、オープン戦の最終盤に5番に入った長打力を生かしたクラッチヒッターとしてぶりが発揮できれば、打点も必然的に積み上がると想像できる。さらに他球団のバッテリーの警戒が強まり四球が増えれば高打率も保てるだろう。
 
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