現地時間4月1日に、ついに開幕した2021年MLB。大谷翔平(エンジェルス)やダルビッシュ有(パドレス)ら日本人選手の活躍も気になるが、それ以外にも注目すべき選手はいる。ここでは、ダルビッシュのチームメイトでもあるフェルナンド・タティースJr.を推したい。
現在22歳のタティースJr.は、メジャーデビューした2019年に84試合で22本塁打を放って新人王投票3位に入り、華々しく表舞台に登場した。短縮シーズンとなった昨季もリーグ2位の17本塁打、同4位の11盗塁を記録して2年目のジンクスを跳ね返し、MVP候補にもなった。トレードマークのドレッドヘアをなびかせながら、走攻守すべてにダイナミックなプレーを披露するタティースJr.はスター性も十分。今年2月には、14年3億4000万ドル(約360億円)の“史上最長契約”を交わして話題を呼んだ。
その早熟ぶりとスケールの大きさは、地元紙『サンディエゴ・ユニオン・トリビューン』がNBAの大スター、レブロン・ジェームズと比較するほど。まさに「次代のMLBの顔」になることが義務付けられていると言ってもいい。それだけに、今季はタイトルやMVPの獲得だけでなく、もう一段上の“偉業”を築いてほしいところ。具体的には、タティースJr.と同じ万能遊撃手だったアレックス・ロドリゲスが、同じく22歳だった1998年に達成した40本塁打40盗塁(40-40)だ。
40-40の達成者は、ロドリゲスやバリー・ボンズ(96年/ジャイアンツ)を含めこれまでわずか4人だけ。現役最高の万能選手であるマイク・トラウト(エンジェルス)やムーキー・ベッツ(ドジャース)ですら達成したことがない。近年で最もこの偉業に近づいたのは19年のロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)で、41本塁打&37盗塁を記録した。本塁打が重視されるのに反比例して、盗塁数が激減している現代のMLBでは、なおさら達成が難しくなっている。
また、記録の難易度もさることながら、タティースJr.は故障が多いという弱点を抱えている。マイナー時代の17年には左手親指の骨折でシーズンのおよそ半分を棒に振り、メジャー1年目の19年は左足と背中の故障で故障者リスト入りして84試合にしか出られなかった。
だが、故障さえなければ、40-40はタティースJrにとって実現不可能な目標ではない。これまでのメジャー通算成績は、143試合で39本塁打&27盗塁。データサイト『FanGraphs』が予測する今季の成績も37~39本塁打&25~28盗塁で、このラインに近い。ということは、怪我なくシーズンを完走し、走塁面でもう一回りスケールアップすれば、史上5人目の大記録に届く可能性が十分あるということだ。
達成の暁には、パドレス史上2人目のMVP受賞はもちろん、ドジャースを打倒しての地区優勝にもぐっと近づくはず。そうなれば、サンディエゴだけでなく全米のヒーローになることは疑いない。「スーパースター不在」に悩む近年のMLBにおいては、それが極めて大きな意味を持つはずだ。
構成●SLUGGER編集部
現在22歳のタティースJr.は、メジャーデビューした2019年に84試合で22本塁打を放って新人王投票3位に入り、華々しく表舞台に登場した。短縮シーズンとなった昨季もリーグ2位の17本塁打、同4位の11盗塁を記録して2年目のジンクスを跳ね返し、MVP候補にもなった。トレードマークのドレッドヘアをなびかせながら、走攻守すべてにダイナミックなプレーを披露するタティースJr.はスター性も十分。今年2月には、14年3億4000万ドル(約360億円)の“史上最長契約”を交わして話題を呼んだ。
その早熟ぶりとスケールの大きさは、地元紙『サンディエゴ・ユニオン・トリビューン』がNBAの大スター、レブロン・ジェームズと比較するほど。まさに「次代のMLBの顔」になることが義務付けられていると言ってもいい。それだけに、今季はタイトルやMVPの獲得だけでなく、もう一段上の“偉業”を築いてほしいところ。具体的には、タティースJr.と同じ万能遊撃手だったアレックス・ロドリゲスが、同じく22歳だった1998年に達成した40本塁打40盗塁(40-40)だ。
40-40の達成者は、ロドリゲスやバリー・ボンズ(96年/ジャイアンツ)を含めこれまでわずか4人だけ。現役最高の万能選手であるマイク・トラウト(エンジェルス)やムーキー・ベッツ(ドジャース)ですら達成したことがない。近年で最もこの偉業に近づいたのは19年のロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)で、41本塁打&37盗塁を記録した。本塁打が重視されるのに反比例して、盗塁数が激減している現代のMLBでは、なおさら達成が難しくなっている。
また、記録の難易度もさることながら、タティースJr.は故障が多いという弱点を抱えている。マイナー時代の17年には左手親指の骨折でシーズンのおよそ半分を棒に振り、メジャー1年目の19年は左足と背中の故障で故障者リスト入りして84試合にしか出られなかった。
だが、故障さえなければ、40-40はタティースJrにとって実現不可能な目標ではない。これまでのメジャー通算成績は、143試合で39本塁打&27盗塁。データサイト『FanGraphs』が予測する今季の成績も37~39本塁打&25~28盗塁で、このラインに近い。ということは、怪我なくシーズンを完走し、走塁面でもう一回りスケールアップすれば、史上5人目の大記録に届く可能性が十分あるということだ。
達成の暁には、パドレス史上2人目のMVP受賞はもちろん、ドジャースを打倒しての地区優勝にもぐっと近づくはず。そうなれば、サンディエゴだけでなく全米のヒーローになることは疑いない。「スーパースター不在」に悩む近年のMLBにおいては、それが極めて大きな意味を持つはずだ。
構成●SLUGGER編集部