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大谷翔平の“リアル二刀流”は継続可能か?現地記者が指摘する球団との意思疎通の問題「自分の状態を正直に報告すべきだ」<SLUGGER>

ジェフ・フレッチャー

2021.04.12

打撃は絶好調の大谷だが、マメの問題で次回先発をスキップすることになった。写真:Getty Images

打撃は絶好調の大谷だが、マメの問題で次回先発をスキップすることになった。写真:Getty Images

 開幕8試合で3本塁打と順調なスタートを切った大谷翔平。好調な打撃と並んで目につくのが、エンジェルスの積極的な起用法だ。“リアル二刀流”はもちろん、以前は休養することが多かった登板日前後の試合でも、今季は出場している。だが一方で、球団と大谷との間の意思疎通はまだ完全な形ではないようだ。地元紙『オレンジカウンティ・レジスター』のベテラン記者が実状を探る。

   ◆   ◆   ◆

 3年間にわたって大谷を慎重に起用していたエンジェルスは今年、コンディションについての判断を大谷自身に委ねることに決めた。

 ジョー・マッドン監督は、大谷が義務感から疲労や違和感を我慢することなく、いつ休養が必要かを自分自身で的確に判断できると考えている。

「大切な情報を隠し立てするような関係ではないと信じたい」「我々が心から彼のことを思っていることを、理解してくれていると思う」とマッドン監督は言う。

 今シーズンここまで、エンジェルスが大谷の希望に応えているケースがすでにいくつか見られる。4月4日のホワイトソックス戦では、メジャー移籍後初めてDHを解除しつつ投手として出場。また、5日の試合にも代打で登場した。

 一方で、大谷が本来なら休養を取るべきケースで、球団に自らの状態を正直に打ち明けていなかった例も、少なくとも一件はあった。
 
 オープン戦後半、3月21日のパドレス戦で「1番・投手」として出場する直前に、大谷が1日多く休養を取りたいと申し出たことがあった。それは、エンジェルにとっては彼が誠実であることの根拠となっていた。

 その3月21日の試合で、大谷の右手中指にマメができた。次のドジャース戦(29日)も予定通り投げたが、マメの状態は悪化した。それでも翌日、エンジェルスは大谷を打者としてラインナップに入れた。それまで大谷は、登板翌日に打者として出場したことはなかった。オープン戦とはいえ、マメの問題を抱えていたことを思えば奇妙な決断だった。

 シーズンが始まり、大谷は最後のオープン戦登板から中5日でマウンドに上がったが、これは過去最も短い登板間隔だった。大谷は5回にトラブルを招いて92球で降板した後、そこまで投げさせたマッドン監督の信頼への感謝を口にした。

 しかしその後、大谷が試合中に再びマメに苦しめられていたことが判明した。彼はそのことを球団に報告していなかった。マメの状態は悪く、彼は次の登板を回避せざるを得なくなった。

 可能な限り多くの試合に出場する形を残りシーズンも継続したいなら、大谷は自分の状態について正直に球団に報告する必要がある。そしてエンジェルスも、時には大谷の意に反してでも休養を与える日も出てきそうだ。

文●ジェフ・フレッチャー

PROFILE
『オレンジカウンティ・レジスター』紙記者。2013年からエンジェルスのビートライターを務め、殿堂入り投票権も持つ。ツイッターアカウントは@JeffFletcherOCR。

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