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MLB

大谷翔平の「14.54」と「11.42」。メジャー5位とワーストに沈む好対照な“弱点”とは

THE DIGEST編集部

2021.04.21

球威は間違いなくメジャートップクラス。しかし制球力は最底辺に沈む。(C)Getty Images

球威は間違いなくメジャートップクラス。しかし制球力は最底辺に沈む。(C)Getty Images

 “独り相撲”、という表現が適切なマウンドが続いていると言っていいかもしれない。

 現地時間4月20日、ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平は、本拠地で行なわれたテキサス・レンジャーズ戦に先発。1066日ぶりの勝利投手を目指して臨んだが、4回1安打無失点ながらも7四死球を出して80球で降板して次戦以降に持ち越しとなった。

 初回から大荒れだった。1死後に3者連続フォアボールを出して満塁のピンチを招くと、ここから2連続三振でどうにか切り抜けた。しかし、以降は毎回四球を出して走者を出す苦しい展開。それでも、伝家の宝刀スプリッターを駆使して要所を切り抜け、4回で7つの三振を奪って無失点で降板した。

「2番・DH」で大きな話題を集めた今季初戦を含め、大谷は2先発して防御率1.04と“表面的”には結果を残していると言える。しかし一方で、この日は75球前後の球数制限があったとはいえ、2試合でわずか8.2イニングしか投げられていない。それはひとえに、コントロールが大荒れすぎるからだ。
 
  4日の試合は4.2回で5四球、20日は4回で6四球。9イニング平均の与四球は「11.42」に達し、今季大谷と同じイニング数を投げている181投手のうちでメジャーワーストの数字(ワースト2位はシアトル・マリナーズのジャスティン・ダンで9.31)。

 それもそのはずで、大谷のストライク率はわずか52.0%。2球に1回程度しかストライクが入っていないのである。20日の試合は80球のうちストライクは37球、割合46.3%。メジャー平均が63.5%であることを考えると、とにかくカウントが整えられていない。これでは長いイニングを投げることは難しいだろう。

 と、ここまでは悲観的な話が続いたが、同時に大谷はその資質も大いに発揮している。計8.2回で14三振、奪三振率は「14.54」という驚異的な数字を出しているのだ。

 メジャー1位の“最強右腕”ジェイコブ・デグロム(ニューヨーク・メッツ)の15.75には及ばないものの、それでも大谷の数字は全体5位に相当。ボールの威力が球界屈指の域にあることは、文字通りデータが証明しているのだ。

 問題は、大谷の制球力の荒れ方が一過性のものなのかどうか。昨年も今年以上にコントロールが乱れたが、それはトミー・ジョン手術からのリハビリ登板が不十分なためだったと本人も認めている。だからこそ、復帰”2年目”は問題ないかと思われたが、オープン戦を含めてもいまだ改善の兆しが見られないのは気がかりだ。さらに、マメができやすいというのも、制球を乱してしまう要因になっている。

「三振か、四球か、本塁打か」――。現代野球を席巻するトレンドだ。まさに大谷という存在もこれに当てはまり、投げては三振か四球、自分で本塁打を打てる“二刀流”。『ジキルとハイド』のような大谷のピッチングにおいては、とにかく四球問題の解決が迫られている。

構成●THE DIGEST編集部
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