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MLB

三振率40%、しかし本塁打はゼロ…“チーム2番目の高給取り”筒香嘉智が直面する「悲観すべき」数字

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2021.04.14

今季も開幕から苦しむ筒香。復調に期待したいが、悲しいデータも少なくない。(C)Getty Images

今季も開幕から苦しむ筒香。復調に期待したいが、悲しいデータも少なくない。(C)Getty Images

 勝負の2年目――のはずだったが、瀬戸際の2年目になりそうだ。

 現地時間4月12日、タンパベイ・レイズの筒香嘉智は、本拠地でのテキサス・レンジャーズ戦に「1番・一塁」で先発出場するも、4打席無安打3三振。今シーズンの成績を9試合で打率.161、0本塁打、1打点、OPS.429とした。

 侍ジャパンの4番を務めた”大砲”は昨年メジャーに移籍し、開幕戦で本塁打を放つ好スタートを切った。しかし、課題とされたメジャー平均93マイル(約150キロ)の速球に42打数4安打、打率.095とまったく対応できず……。チームはワールドシリーズまで駆け上がっていくなかで、自身の出場はほぼ代打だけに限られるなど、屈辱を味わった。

 明るい材料もあった。打率.197に沈みながらも、四球率14.1%と選球眼を発揮。さらには打球速度やハードヒット率も優秀とのデータもあり、今シーズンのブレイク候補とする現地媒体も少なくなかったのだ。

 筒香が2年契約最終年を迎えた今シーズン、レイズはコロナ禍による財政難などもあって、エースのブレイク・スネルらを放出。その影響もあり、筒香の年俸700万ドル(約7億6200万円)は決して高額ではないが、ケビン・キアマイアーに次ぐチーム2番目の高給となった。そこに来て、開幕直前に正一塁手のチェ・ジマンが故障離脱。筒香への期待は否応に高くなっていった。
 
 しかし、上記の通り、開幕からまったくと言っていいほど結果が出ていない。しかも、その”内容”も厳しいものが並んでいる。12日時点で筒香は35打席に立っているが、14個の三振を喫している。その割合40.0%はメジャーワースト9位(30打席以上)。三振の多さは基本的には長打とトレードオフの関係とも言えるだろうが、筒香は今シーズンの長打は2本、本塁打は1本も出ていない。

 筒香より三振率の悪い選手のなかでも、レオディ・タベラス(テキサス・レンジャーズ)とマーティン・マルドナードも同じくゼロ本塁打ではある。しかし、タベラスは好守のセンター守備が魅力で、マルドナードも2017年にゴールドグラブを獲得した捕手だ。多少打てなくてもポジション的に“許される”面もある。

 一方で筒香は守備と走塁で貢献できる選手ではなく、しかもレフトや一塁といった、パワーバットが務めるポジションを考慮すると、打撃のハードルは必然的に高いものが求められてくる。

 BABIPという指標がある。Batting Average on Balls In Playの略で、そのまま訳せばインプレ―(本塁打とファウルを除く)になった打球がヒットになった割合だ。おおむねリーグ平均は3割前後になり、BABIPが高い選手はどこかで下がる傾向にある(逆もまた同様)。BABIPが高いシーズンの後は数字が悪化し、成績も下降することが少なくないため、「運」の要素が強いという観点から今後の成績について予測する際に使われることがある。

 そして、今シーズンの筒香のBABIPは「.294」。つまり、今の成績は運に恵まれずに悪いのではなく、“ただただ悪い”と言える。もちろん、たかだか数十打席のことであり、ここから日本時代のように猛打を発揮する可能性だってあるだろう。しかし、正一塁手が戦線に帰ってきた時、「長打がない+三振も多い+守備・走塁の貢献×」の選手をファーストオプションで使う選択肢がフロントにあるのかは……。

 現地時間13日、筒香は「6番・DH」で出場したが3打数ノーヒットに終わった。少し悲しいが、三振をしなかった点が救いかもしれない。

構成●新井裕貴(THE DIGEST編集部)
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