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MLBを席巻する大谷翔平の改善すべき“穴”とは?リーグ最悪の与四球率にBB/Kの低迷…<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2021.05.09

抜群のパワーに剛速球。パワフルな大谷の投打にわたる活躍の中にも穴はある。(C)Getty Images

抜群のパワーに剛速球。パワフルな大谷の投打にわたる活躍の中にも穴はある。(C)Getty Images

 大谷翔平(エンジェルス)の活躍が連日連夜、日本だけでなくアメリカのファンまでも熱狂させている。打ってはリーグトップタイの10本塁打を放ち、投げては100マイルを超える速球と「球界で最もアンヒッタブルな球」とも言われるスプリッターで三振を量産し、アメリカでもその一挙手一投足が注目を集めている。

 だが、投球にも打撃にも実は穴がないわけではない。少し冷静な視点で大谷のここまでの成績を分析してみよう。

 まず、投手・大谷の短所は明白だ。これまで18.2イニングを投げて与えた四球は実に19。9イニング平均の与四球率9.16は、10イニング以上の投手でリーグワーストとなっている。初球ストライク率も50%前後とMLB平均をかなり下回っており、ボール先行の傾向は明らかだ。被打率.000の魔球スプリッターで三振を奪いまくることで大怪我は回避できているが、かなり綱渡りの投球が続いている。

 MLBを代表する好投手の与四球率はどうかというと、4シームで大谷の平均球速を上回るジェイコブ・デグロム(メッツ/159.1キロ)は1.03、ゲリット・コール(ヤンキース/156.4キロ)は0.60。やはり真の一流投手は球威だけでなくコントロールも一級品であることがよく分かる。また、ボールが先行して球数がかさむこともあって、大谷は今季まだ6イニングを投げ切ったことが一度もない。これもマイナスポイントに挙げられるだろう。
 
 では、打撃はどうだろうか。今季の大谷は以前と比べてもかなり積極的に、しかも力強くスウィングするようになっていて、それが本塁打量産につながっている。

 だが、その代償がまったくないわけではない。まず挙げられるのが、四球をほとんど選ばなくなっていることだ。昨季は12.6%だった四球率は、ここまで4.1%と大幅に落ち込んでいて、出塁率は.325と物足りない水準にとどまっている。

 四球を選ばなくなった一方で三振率の改善は小幅にとどまり、空振り率やボール球スウィング率はむしろメジャー4年間で最も高い。その結果、打席アプローチの優秀さを表わすBB/Kはリーグワースト10位の0.17と極めて悪い数値になってしまっている。

 本塁打を量産するスラッガーに三振は付き物だが、たとえば大谷の僚友マイク・トラウトは、三振率は大谷よりも高い一方で四球は4倍近く選んでいる。本塁打で大谷と同数のJD・マルティネス(レッドソックス)も同様で、出塁率は4割を超えている。売り出し中のブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)に至っては、豪快なイメージとは裏腹に三振より多く四球を選び、BB/Kは1.09の高水準に達している。彼らと比べると、打者・大谷は少なくとも現時点では一枚劣ると言わざるを得ない。

 もちろん、デグロムやトラウトは投打一方に専念しているわけで、両方をこなしながらどちらも一流の数字を残している大谷が異次元の選手であることは間違いない。そうは言いながらも、相手球団は今後、上で挙げたような「弱点」を念頭に置いて攻略プランを練ってくるはずだ。

「MLBは適応(アジャスト)の戦い」とよく言われる。相手に「弱点」を突かれた時に、今度は自分がどうアジャストするか。その成否が真の一流選手になるための最大の関門となる。今後、大谷が投打の課題をどのようにクリアしていくかも注目していきたい。

構成●SLUGGER編集部

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