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「打席に立てば投手を、マウンドに立てば打者だと忘れてしまう」イスラエル代表の名二塁手キンズラーのオオタニ評

THE DIGEST編集部

2021.08.03

五輪出場中のキンズラー(右)が語った大谷への想い。それは二刀流の凄さが凝縮されたものだった。(C)Getty Images

 東京オリンピック2020の熱戦が続く横浜。現役メジャーリーガーはいないが、実績十分の選手は参加している。例えば、ドミニカ共和国代表では、本塁打王2回&シルバースラッガー3回のホゼ・バティスタ。例えばアメリカ代表では、オールスター選手2回のトッド・フレイジャーなどだ。

 これらWBC優勝国だけでなく、前回の第4回WBCで躍進を遂げたイスラエル代表にも"レジェンド"がいる。テキサス・レンジャーズやデトロイト・タイガースなどで活躍したイアン・キンズラーだ。シーズン30本塁打&30盗塁を2回、ゴールドグラブ2回、オールスター選出4回を誇る通算1999安打の名二塁手は、2018年にロサンゼルス・エンジェルスに所属していた。そう、大谷翔平がメジャー移籍した1年目のことである。

 大谷はメジャー初本塁打を放った際、「サイレント・トリートメント」を仕掛けたのがキンズラーなのだが、彼は今や球界を代表する大谷に対して取材した際、こんなことを語ってくれている。

 まず、二刀流について訊ねると「ものすごく難しいこと」と断言。「まず、投打それぞれに注ぐ時間量。例えば、スウィングは何本までやっていとか、細かなところまで注意を払わなきゃいけなくて、とにかくタイムマネジメントが一番難しいと思う」とコメント。

【動画】大谷翔平との"いちゃいちゃ"! 懐かしの「サイレント・トリートメント」がこれだ
 それだけに「ショウヘイはいつも何かしていた。片方だけでも相当に時間をかけなきゃなのに、両方かってね。でも、大変なのと同時に、ショウヘイは両方をやるのをすごく楽しんでいるようにも見えた。メジャーでプレーする準備を、彼自身が最大限やりたいんだなって思ったよ」と、"練習の虫"の姿に驚いたようだ。

 メジャー14年間プレーした男は酸いも甘いも十分に分かっている。そんなレジェンドの目に映る大谷は、このコメントにすべてが凝縮されているだろう。

「ショウヘイがマウンドに立っている時、彼がいかにすごい打者かと忘れてしまう。そして彼が打席に立っている時には、いかに素晴らしい投手であるかを忘れてしまう。それほど両方すごくて、間違いなく特別な選手だ。同じことをやれた選手は今まで一人もいないんだから」

 まさにその言葉通り、"リアル二刀流"でプレーしている時ですら、あまりに凄すぎて「打者・大谷」「投手・大谷」が一人ずついるような錯覚すら覚えてしまう。それはファンだけでなく、メジャーを代表する選手ですらそうなのだ。改めて、大谷翔平という選手がいかに特異な存在なのかと再認識させられた。

構成●THE DIGEST編集部