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MLB

「スチュワート同様に日本行きも?」MLBドラフト全体10位右腕はメッツと契約ならず。一部識者は日本移籍の可能性も示唆

THE DIGEST編集部

2021.08.02

超本格派右腕ロッカーはドラフト契約ならず。今後の行方にも注目される。(C)Getty Images

超本格派右腕ロッカーはドラフト契約ならず。今後の行方にも注目される。(C)Getty Images

 現地時間8月1日、球界に大きなニュースが飛び込んできた。この日は先に行われたMLBドラフトの契約期限を迎え、ニューヨーク・メッツが全体10位で指名したバンダービルト大のエース、クマー・ロッカーと合意に至らなかったことが分かったのだ。

 ロッカーは高校時点から大器と評判の本格派右腕で、2017年のU18世界野球でもその豪腕を武器にアメリカを優勝に導いていた。そして進学した名門バンダービルト大では能力を一気に開花させ、1年生ながら19奪三振ノーヒッター、カレッジワールドシリーズMVPと、すでに2021年ドラフト全体1位が濃厚視されるほどだった。

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 今春時点でも1位有力とされていたのだが、結局ドラフト全体10位まで“落ちた”形となった。理由はいくつかあり、一つは球速低下の傾向が見られたこと、一つはロッカーと代理人のスコット・ボラスが望む契約金が高くなると見られたこと、そしてもう一つが指名拒否だ。

 ロッカーは高校卒業時に全体38位でコロラド・ロッキーズに指名されていた。同じ球団に再指名する際は選手の同意が必要であり、豪腕は21年ドラフト8位指名権を持つロッキーズへの入団意志がなかったと言われている。
 
 もっとも、ロッカーとメッツは相思相愛の関係で、すぐに契約合意するかと思われたのだが、最終的には破談に終わった。その理由は、先の指名順位落ちの理由第1に該当する。メッツのメディアルチェックの結果、ロッカーの右ヒジに故障が発見され、契約金の減額の意向を示したのだ。

 全体10位の契約金割当額は474万ドル(約5億1900万円)だったが、ロッカーと代理人のスコット・ボラスは600万ドル(約6億5800万円)を要求し、メッツ側も当初はその方向で動いていた。ところが、検査で異常が発覚したことで、交渉が暗礁に乗り上げたというわけだ。一方のボラスは破談後、「独立した検査機関に調査してもらった結果、ロッカーの右腕には何ら損傷は見られたなかった」と報告し、球団側への憤りをあらわにしている。

 ドラフト後にメディカルチェックにかかった例は少なくなく、例えば2014年の全体1位ブライディ・エイケンはヒューストン・アストロズに指名されたが、同じように左ヒジに故障が発覚し合意に至らなかった。もっとも、エイケンは翌年にトミー・ジョン手術を受け、その後も成績を残せないなど、球団側が“正しかった”との声が多い。

 一番驚きだったのは、2018年ドラフト全体8位のカーター・スチュワートだ。アトランタ・ブレーブスによる故障発覚での契約金減額を要求されて破談。翌年のドラフトに臨むと思われた中で、19年に福岡ソフトバンクホークスと6年700万ドル(約7億7000万円)という驚きの日本移籍を果たしたのだった。

 そして、スチュワートの代理人もボラスということから、スポーツメディア『Fansided』のアーロン・ソマーズ氏をはじめ複数の識者が、「ロッカーはスチュワートと同じように日本球界へ移籍する可能性も?」と報じている。

 日本移籍は選手側にもメリットがあり、メジャーの年俸システムは最初の3年間は低い金額に抑えられ、マイナー時代も低賃金だ。しかし日本で複数年プレーしたのち、若いうちにFA市場に出ると、相当な大型契約が見込める。果たしてロッカーとボラスは今後、再び大学に戻る選択を取るのかそれとも……。その将来に今から注目が集まっている。

構成●THE DIGEST編集部
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