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“球種バレ”に気付いて見事修正!ストラスバーグ一世一代の活躍の影に投手コーチあり

スラッガー編集部

2019.10.30

ストラスバーグは癖を逆に利用してアストロズ打線を手玉に取った。(C)Getty Images

 10月29日、アストロズ3勝2敗で迎えたワールドシリーズ第6戦は、ナショナルズが土壇場で踏ん張ってシリーズをタイに戻した。いよいよ明日、世界一の座をかけた第7戦が今日と同じミニッツメイド・パークで開催される。
 
 何と言っても、この日のナショナルズを救ったのはスティーブン・ストラスバーグの投球だった。初回に2点を失ったもののその後は立ち直り、9回1死までマウンドを譲らず、104球を投げて5安打2失点7奪三振の力投。上り調子だったアストロズ打線を沈黙させた。
 
 試合終了後、ストラスバーグは自身の好投を導いた存在として、投手コーチのポール・メンハートの名を挙げた。

 いわく、初回にジョージ・スプリンガーに速球を二塁打にされ、4番のアレックス・ブレグマンにも同じく速球でホームランを浴びた。続く5番ユリ・グリエルにも初球に投じた速球が左中間深くまで運ばれると、メンハート投手コーチから「球種がバレている」と指摘されたという。そして、イニング終了後にクラブハウスに戻り、両者は球種バレ対策として、ボールを握る際にグラブをいつもより広げ、動かし方も変えたという。
 
 対策は見事成功した。2回以降、ストラスバーグは痛烈な打球を打たれることが一気に減り、マウンドを降りるまでわずか3安打ピッチング。ナショナルズに勝利をもたらしたのだ。

 アストロズは以前から「球種盗み」のうまさに定評があった。2017年にドジャースと戦ったワールドシリーズでは、ダルビッシュ有(現カブス)がスライダーの癖を見抜かれて2戦とも炎上。今年のレイズとの地区シリーズでも、本格派右腕のタイラー・グラスノーが「速球を投げる時に明らかに癖があった」と、彼もまた球種が見破られていたと語っている。

 もっとも、「球種盗み」自体は立派な戦術だ。事実、ストラスバーグ自身も「これも野球の一部。どの球種も同じフォームでしっかりと投げるようにしなきゃいけない」とコメントしている。そして、その癖を逆に利用して、相手を困惑させることもまた、立派な戦術だろう。

 逆境を乗り越えたストラスバーグは、今年のポストシーズン5先発して5勝0敗、防御率1.98と文字通り、エースとしてチームを救っている。果たして明日の第7戦は、満身創痍のマックス・シャーザーが先発予定。Wエースの活躍で、ナショナルズは球団創設以来初の世界一を成し遂げるだろうか。

構成●スラッガー編集部
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