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プロ野球

【ドラフト候補タイプ別診断:「即戦力」】群を抜く広畑の「即戦力度」。隅田、山田らの本格化は2年目以降?<SLUGGER>

西尾典文

2021.10.07

広畑は試合の中での修正能力も含めて即戦力候補として高い評価を集めている。写真:西尾典文

広畑は試合の中での修正能力も含めて即戦力候補として高い評価を集めている。写真:西尾典文

 いよいよ11日に迫ったプロ野球のドラフト会議。今年も多くの選手に注目が集まるなか、テーマ別に有力候補を紹介していく。今回のテーマは「即戦力」だ。

 まず、1年目から活躍できる可能性が最も高いのが広畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)だ。昨年の都市対抗でマークした最速154キロという数字が紹介されることが多い投手だが、投げる試合はほぼ毎回150キロ以上を記録し、アベレージの高さが光る。

 さらにカーブ、スライダー、カットボール、スプリットなど多彩な変化球を操り、どのボールもしっかりコントロールできる制球力の高さも魅力だ。また、先発でもリリーフでも力を発揮できるというのも持ち味である。どのポジションを任せるかは入るチームによって変わりそうだが、ルーキーイヤーから一軍の戦力として期待できるだろう。

 他の即戦力候補としては大学生では、佐藤隼輔(筑波大)、隅田知一郎(西日本工大)、社会人では山田龍聖(JR東日本)、森翔平(三菱重工West)のサウスポーに人気が集中することが予想される。ただ、佐藤は秋のリーグ戦で脇腹を痛め、隅田もこの秋は登板数が少なく、ともに体力面を考えると本格化するのはプロ2年目からと考えておいた方が無難だ。

 山田もストレートは素晴らしいものがあるが、まだバラつきがあり、チェンジアップ以外の頼れる変化球が課題となる。この4人の中では大卒2年目の森が最も期待できそうだが、少し調子の波があるのは不安要素だ。
 そんななか、指名の可能性は低そうだが、本当の意味で即戦力となりそうなサウスポーが相馬和磨(日本通運)だ。今年で27歳となるが、安定感は抜群でストレートの勢いも申し分ない。昨年も候補に挙がりながら指名が見送られたものの、密かに狙っている球団があってもおかしくないだろう。

 一方の野手では、外野手の藤井健平(NTT西日本)が即戦力の筆頭候補となる。ライトから見せる強肩と抜群の脚力はプロでも上位のレベル。昨年は下位を打つことが多かったが、都市対抗で打率.750と打ちまくり、今年は不動の3番として活躍している。いきなりレギュラーとまではいかなくても、外野のバックアップ要員として一軍の戦力になれる可能性は高いだろう。

 同じ社会人の外野手では、向山基生(NTT東日本)も1年目から活躍が期待できる。昨年もドラフト候補に挙げられながら指名がなかったが、強肩強打は社会人の中でもトップクラス。大型でも動きの良さがあり、年々打撃の凄みも増している。候補に挙げている球団が多いという声はあまり聞こえてこないが、指名があってもまったくおかしくない実力者だ。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
 

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