女子プロ野球界に激震が走った。
2016年のルーキーイヤーから「女子プロ野球の顔」として精力的に活動し、不動の一番人気を誇っている埼玉アストライアの加藤優外野手が今シーズン限りで退団することが明らかになった。1日、日本女子プロ野球機構が来季の契約選手を発表し、加藤ら30人以上の選手が退団ないし引退することが決まった。
加藤は恵まれたルックスと、プロ選手になる前にシンガー・ソングライターとしてCDメジャーデビューをするなど、マルチな活躍をしていたことから「美人すぎるプロ野球選手」として、デビュー前から注目されていた。機構は同じ元アストライアの川端友紀内野手(ヤクルトの川端慎吾の妹)と加藤を前面に出したプロモーションを行うことで、ファンの増加に貢献してきた。 本業のプロ野球選手としても、ルーキーイヤーから活躍。その実力はオリックスの後藤駿太外野手など男子のプロ選手からも認められているほどで、4年目の今年はダブルヘッダーが多い過酷な日程の中、公式戦全66試合に出場し、キャリアハイの打率.309、21打点を記録。アストライアの秋季リーグ優勝に大きく貢献したことから、ベストナインの有力候補にも挙がっている。
今回の退団騒動の発端は、機構の都合による日程やカードの直前変更など度重なる不手際に対して、選手である加藤がファンに陳謝したこと。その結果、加藤と機構の間に深い溝が生じた。
昨年、女子プロ野球初期からリーグ全体を引っ張ってきた川端が引退。しかし、今年に入って引退を撤回し、社会人のエイジェック硬式野球部で現役を続行している。機構を運営しているわかさ生活は今年8月の会見で、来季の継続が困難な状況にあると新規参入を呼びかけたが、その後も進展は見られない。そこに来て、誰よりも「女子プロ野球愛」を訴えてきた加藤の退団は痛い。
加藤は今後について、夢であるマドンナジャパン(女子野球日本代表)選出を目指して「現役は続けます」とのこと。また「女子野球をどうしたらもっと広げることができるのか? 私なりにいくつか考えていることがあります。それに関しては追って発表させていただきます」と話し、今後何らかのアクションを起こすことを示唆した。
加藤をはじめ、今回、大量の選手が退団したことにより、女子野球界は再編が一気に加速するかもしれない。可能性を秘めた競技なだけに、わかさ生活も含め業界全体でリーグのあるべき姿を真剣に考える必要があるだろう。
なお、加藤らは8日に京都・わかさスタジアムで行われる試合が最後の出場となる。
文●どら増田(スポーツライター)
【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、昨年は山本由伸と那須川天心の"神童"対談を実現させた。
2016年のルーキーイヤーから「女子プロ野球の顔」として精力的に活動し、不動の一番人気を誇っている埼玉アストライアの加藤優外野手が今シーズン限りで退団することが明らかになった。1日、日本女子プロ野球機構が来季の契約選手を発表し、加藤ら30人以上の選手が退団ないし引退することが決まった。
加藤は恵まれたルックスと、プロ選手になる前にシンガー・ソングライターとしてCDメジャーデビューをするなど、マルチな活躍をしていたことから「美人すぎるプロ野球選手」として、デビュー前から注目されていた。機構は同じ元アストライアの川端友紀内野手(ヤクルトの川端慎吾の妹)と加藤を前面に出したプロモーションを行うことで、ファンの増加に貢献してきた。 本業のプロ野球選手としても、ルーキーイヤーから活躍。その実力はオリックスの後藤駿太外野手など男子のプロ選手からも認められているほどで、4年目の今年はダブルヘッダーが多い過酷な日程の中、公式戦全66試合に出場し、キャリアハイの打率.309、21打点を記録。アストライアの秋季リーグ優勝に大きく貢献したことから、ベストナインの有力候補にも挙がっている。
今回の退団騒動の発端は、機構の都合による日程やカードの直前変更など度重なる不手際に対して、選手である加藤がファンに陳謝したこと。その結果、加藤と機構の間に深い溝が生じた。
昨年、女子プロ野球初期からリーグ全体を引っ張ってきた川端が引退。しかし、今年に入って引退を撤回し、社会人のエイジェック硬式野球部で現役を続行している。機構を運営しているわかさ生活は今年8月の会見で、来季の継続が困難な状況にあると新規参入を呼びかけたが、その後も進展は見られない。そこに来て、誰よりも「女子プロ野球愛」を訴えてきた加藤の退団は痛い。
加藤は今後について、夢であるマドンナジャパン(女子野球日本代表)選出を目指して「現役は続けます」とのこと。また「女子野球をどうしたらもっと広げることができるのか? 私なりにいくつか考えていることがあります。それに関しては追って発表させていただきます」と話し、今後何らかのアクションを起こすことを示唆した。
加藤をはじめ、今回、大量の選手が退団したことにより、女子野球界は再編が一気に加速するかもしれない。可能性を秘めた競技なだけに、わかさ生活も含め業界全体でリーグのあるべき姿を真剣に考える必要があるだろう。
なお、加藤らは8日に京都・わかさスタジアムで行われる試合が最後の出場となる。
文●どら増田(スポーツライター)
【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、昨年は山本由伸と那須川天心の"神童"対談を実現させた。