プロ野球

広島の“新大砲”マクブルームってどんな選手? バットが折れても柵越えする3Aの本塁打王も、MLBで通用しなかった「弱点」が

THE DIGEST編集部

2021.11.05

広島の加入が決まった3A本塁打王のマクブルーム。パワーに関しては申し分ないが、アプローチは……。(C)Getty Images

 プロ野球はレギュラーシーズンの全日程を終え、メジャーリーグもワールドシリーズが終了。来季に向けたストーブリーグの熱が帯び始める時期になっている。そして早速動き出したのが、今季セ・リーグ4位に終わった赤鯉軍団だ。

 広島は5日、カンザスシティ・ロイヤルズのライアン・マクブルーム内野手と契約したと発表した。契約金30万ドル、年俸70万ドルプラス出来高。今季はメジャー出場7試合にとどまった右の大砲候補だが、3Aでは115試合に出場してリーグ最多32本塁打を放つパワーが魅力だ。9月の試合ではバットを折られながらも柵越えしており、今季リーグ4位の本塁打数にとどまったカープで違いを作れるか注目される。

 メジャーでは2020年に36試合ながら6本塁打を放つなど、遅咲きのブレイクが期待されながらも定着できなかった。ロイヤルズ自体も強いチームでないだけにお呼びがかからなかったのは、29歳という年齢的な側面もあるが、何よりもマクブルームの"弱点"が明確にあるからだ。

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 開花をのぞかせた昨季もパワーを示すISO(長打率-打率)は.259で、メジャー平均(.171)を大きく上回るなど、怪力に関しては疑いの余地がない。しかし、同年は三振率35.3%、四球率4.7%とかなりの"ブンブン丸"で、打席アプローチには大きな穴があった。結局、この粗さが出塁率.282とレギュラーとしては低い数字につながり、やや見限られた形になったと思われる。

 果たして、3Aで本塁打王を獲得した今季も出塁率.337はリーグ35番目。パワーヒッターの多くは勝負を避けられることもあって四球を獲得しやすいが、ここからもマクブルームのアプローチが改善したとはあまり思えない。打者の総合力を簡易的に示すOPS(出塁率+長打率)も.862でリーグ11位と、決して出色の数字ではなかった。

 しかし、マクブルームへの期待も同時にある。先に述べた通り、メジャーではとにかく三振が多かったが、今季3Aでは三振率22.9%と数字はぐっと下がり、マイナー通算でも21.1%と抑えられている。

 メジャーでの高速スピード、変化球には対応できないものの、レベルが下になれば実力は発揮できる可能性があり、ストレートの平均球速がメジャーより6キロほど下がる日本では、パワーもアプローチも持ち味を生かせるかもしれない。

 田中将大と前田健太が語るように、日本の方がストライクゾーンが広いとの声は少なくない。マクブルームの最初の課題は日本のゾーンに慣れていくことだろう。また、結果の出ない時期が続いた時、首脳陣がどこまで我慢強く起用できるのかも注目だ。過去にエルドレッドが時間をかけて花開いたように、マクブルームもそうなる可能性はあるだろう。

構成●THE DIGEST編集部
 
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