物語を彩ったのは、どれも魅力あふれる個性派キャラクターばかりだった。1972年から連載が始まり、46年間で単行本累計203巻を数えた人気野球漫画「ドカベン」だ。
【動画】ドカベンの超遅球!? MLBで生まれた仰天シーンをチェック!
2018年に終わりを迎えた同シリーズだが、何よりも登場人物たちが他の野球漫画とは一線を画している。主人公の山田太郎にしても、その平凡な名前とは裏腹に、甲子園での通算打撃成績が打率.750、通算本塁打数20本、51打点という規格外の強肩強打の捕手だ。
主人公を取り巻く仲間やライバルもユニークだった。悪球しか打てない(色々な策でストライクゾーンも打つ)岩鬼正美や、サブマリンの里中智、打席内で回転しながら長打を放つ「白鳥の湖」などの秘打を見せた殿馬一人など、枚挙に暇がないほどのキャラクターが名シーンを紡いだ。
心を震わせ、時に涙もした。そんなドカベンでは、現実離れしたものでありながら、読者に「やってみよう」と思わせるプレーが多く描かれた。野球をやっていた人間であるならば、岩鬼の「悪球打ち」や不知火守の「超遅球(ボールにハエが止まるくらいに遅い球)」、坂田三吉の「通天閣打法」などに挑戦した人は少なくないはずだ。
今にして思えば、中西球道や不知火ら作中で160キロ超のスピードボールを記録したのは、大谷翔平やダルビッシュ有のように150キロを超えるボールを投げるのが当たり前の投手たちの登場を予見する内容だった。
そんな不朽の名作を生み出した巨星がこの世を去った。1月10日、作者の水島新司さんが、肺炎のため東京都内の病院で亡くなった。82歳だった。
ドカベンのほかにも「野球狂の詩」や「あぶさん」など、ひと癖もふた癖もある野球人が登場するヒット作を描いてきた水島さん。ド迫力のプレーの中に、どこか人情味が漂う作品は、誰からも愛された。
巨匠の死を哀しむ声が球界からも相次いだ。そのなかで興味深かったのは、かつてダイエー・ホークス(現ソフトバンク)のエースとして君臨した斉藤和巳の、インスタグラムで言葉である。
「『ドカベン』や『あぶさん』の世代ではない。でも先生の漫画に出た事は自慢になった。チーム内でも自慢しあってた。周りの人たちも喜んでくれてた」
何よりも野球を愛していた水島さんの作品は世代を超えて親しまれた。斉藤の言葉は、それを如実に物語っている。
球界にも小さくない影響をもたらしてきた。きっと天国からも、日本球界の行く末を見守ってくれるに違いない。心よりご冥福をお祈りいたします。
構成●THE DIGEST編集部
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2018年に終わりを迎えた同シリーズだが、何よりも登場人物たちが他の野球漫画とは一線を画している。主人公の山田太郎にしても、その平凡な名前とは裏腹に、甲子園での通算打撃成績が打率.750、通算本塁打数20本、51打点という規格外の強肩強打の捕手だ。
主人公を取り巻く仲間やライバルもユニークだった。悪球しか打てない(色々な策でストライクゾーンも打つ)岩鬼正美や、サブマリンの里中智、打席内で回転しながら長打を放つ「白鳥の湖」などの秘打を見せた殿馬一人など、枚挙に暇がないほどのキャラクターが名シーンを紡いだ。
心を震わせ、時に涙もした。そんなドカベンでは、現実離れしたものでありながら、読者に「やってみよう」と思わせるプレーが多く描かれた。野球をやっていた人間であるならば、岩鬼の「悪球打ち」や不知火守の「超遅球(ボールにハエが止まるくらいに遅い球)」、坂田三吉の「通天閣打法」などに挑戦した人は少なくないはずだ。
今にして思えば、中西球道や不知火ら作中で160キロ超のスピードボールを記録したのは、大谷翔平やダルビッシュ有のように150キロを超えるボールを投げるのが当たり前の投手たちの登場を予見する内容だった。
そんな不朽の名作を生み出した巨星がこの世を去った。1月10日、作者の水島新司さんが、肺炎のため東京都内の病院で亡くなった。82歳だった。
ドカベンのほかにも「野球狂の詩」や「あぶさん」など、ひと癖もふた癖もある野球人が登場するヒット作を描いてきた水島さん。ド迫力のプレーの中に、どこか人情味が漂う作品は、誰からも愛された。
巨匠の死を哀しむ声が球界からも相次いだ。そのなかで興味深かったのは、かつてダイエー・ホークス(現ソフトバンク)のエースとして君臨した斉藤和巳の、インスタグラムで言葉である。
「『ドカベン』や『あぶさん』の世代ではない。でも先生の漫画に出た事は自慢になった。チーム内でも自慢しあってた。周りの人たちも喜んでくれてた」
何よりも野球を愛していた水島さんの作品は世代を超えて親しまれた。斉藤の言葉は、それを如実に物語っている。
球界にも小さくない影響をもたらしてきた。きっと天国からも、日本球界の行く末を見守ってくれるに違いない。心よりご冥福をお祈りいたします。
構成●THE DIGEST編集部