今、それぞれのポジションで最強選手は一体誰なのか? 昨季の活躍やこれまでの実績などを基にトップ5までランク付けした。今回は三塁手編だ。
▼1位 村上宗隆(ヤクルト)
2021年成績:143試合 打率.278 39本塁打 112打点 12盗塁 OPS.974
▼2位 岡本和真(巨人)
2021年成績:143試合 打率.265 39本塁打 113打点 1盗塁 OPS.871
▼3位 宮﨑敏郎(DeNA)
2021年成績:141試合 打率.301 16本塁打 73打点 0盗塁 OPS.808
▼4位 大山悠輔(阪神)
2021年成績:129試合 打率.260 21本塁打 71打点 2盗塁 OPS.765
▼5位 宗佑磨(オリックス)
2021年成績:139試合 打率.272 9本塁打 42打点 8盗塁 OPS.728
セ・リーグ本塁打王を分け合い、打点も1点違いだった2人の若き大砲、村上と岡本が、トップ2を占めることに異論はないだろう。日本一に大きく貢献した村上の方がMVPに輝いたが、巨人は得点数リーグ4位(552点)だっただけに、主砲の岡本の役割は大きかった。
そんな2人の順位を分けたのはOPSだ。村上が.974、岡本.871と、意外にも100ポイント以上の差がついていた。これは村上がリーグ最多の106四球を選んだのに対し、岡本は約半数の57個にとどまった点が大きい。
一方、守備では岡本が圧倒的な支持を集めてゴールデン・グラブを受賞。村上が137試合で13失策に対し、岡本が143試合で4失策と、確かに安定感は岡本が上だった。だが、新型指標では村上が上だったとのデータもあり、この点でも大きな差はない。このため、今回のランキングは村上を1位としたが、2人は今後も日本プロ野球を代表する三塁手としてしのぎを削り続けるはずだ。
3位には毎年、コンスタントに優れた打撃成績を残している宮崎を選出。過去5年で4度目の打率3割を記録して、このオフはDeNAと6年12億円の超大型契約を結んだ。球界きっての鈍足で走塁面は期待できないが守備も安定していて、これほど頼れる選手もそうはいない。
20年に28本塁打とブレイクした大山は、昨季は21本のみ。停滞しているようにも思えるが、投手有利の甲子園を本拠地としている点を考慮する必要はある。2年連続20本塁打は、11年の統一球導入以来では球団では初。ただ、出塁率は.313は主軸打者としては物足りず、今季は4番らしい打撃に期待したい。
オリックスの25年ぶりリーグ制覇に大きく貢献した宗は、打っては2番に定着してクラッチヒットを連発、初のゴールデン・グラブを受賞するなど守備の貢献度も高い。盗塁数は決して多くないがベースランニングも優秀。打撃はまだ伸びる余地十分で、期待も込めて5位に選んだ。
【惜しくも圏外だった選手たち】
茂木栄五郎(楽天)は一昨年まで遊撃手だっただけあって、守備は一級品。昨季はショートゴロを横から“強奪”して、遊撃手が思わず苦笑する場面もあった。昨季はやや低調だったパンチ力と選球眼を備えた打撃も魅力で、宗との差はほとんどない。
中村剛也(西武)は38歳ながら18本塁打を放ち、打率でも初の10傑入り(.284)とベテラン健在をアピールした。高橋周平(中日)は昨季は不振に苦しんだが、19年にベストナイン&ゴールデン・グラブを受賞するなど本来は攻守を兼備。他にも、安田尚憲(ロッテ)や野村佑希(日本ハム)、リチャード(ソフトバンク)ら楽しみな若手選手がおり、今後も三塁は文字通り“ホットコーナー”として多くのファンを魅了するだろう。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。
▼1位 村上宗隆(ヤクルト)
2021年成績:143試合 打率.278 39本塁打 112打点 12盗塁 OPS.974
▼2位 岡本和真(巨人)
2021年成績:143試合 打率.265 39本塁打 113打点 1盗塁 OPS.871
▼3位 宮﨑敏郎(DeNA)
2021年成績:141試合 打率.301 16本塁打 73打点 0盗塁 OPS.808
▼4位 大山悠輔(阪神)
2021年成績:129試合 打率.260 21本塁打 71打点 2盗塁 OPS.765
▼5位 宗佑磨(オリックス)
2021年成績:139試合 打率.272 9本塁打 42打点 8盗塁 OPS.728
セ・リーグ本塁打王を分け合い、打点も1点違いだった2人の若き大砲、村上と岡本が、トップ2を占めることに異論はないだろう。日本一に大きく貢献した村上の方がMVPに輝いたが、巨人は得点数リーグ4位(552点)だっただけに、主砲の岡本の役割は大きかった。
そんな2人の順位を分けたのはOPSだ。村上が.974、岡本.871と、意外にも100ポイント以上の差がついていた。これは村上がリーグ最多の106四球を選んだのに対し、岡本は約半数の57個にとどまった点が大きい。
一方、守備では岡本が圧倒的な支持を集めてゴールデン・グラブを受賞。村上が137試合で13失策に対し、岡本が143試合で4失策と、確かに安定感は岡本が上だった。だが、新型指標では村上が上だったとのデータもあり、この点でも大きな差はない。このため、今回のランキングは村上を1位としたが、2人は今後も日本プロ野球を代表する三塁手としてしのぎを削り続けるはずだ。
3位には毎年、コンスタントに優れた打撃成績を残している宮崎を選出。過去5年で4度目の打率3割を記録して、このオフはDeNAと6年12億円の超大型契約を結んだ。球界きっての鈍足で走塁面は期待できないが守備も安定していて、これほど頼れる選手もそうはいない。
20年に28本塁打とブレイクした大山は、昨季は21本のみ。停滞しているようにも思えるが、投手有利の甲子園を本拠地としている点を考慮する必要はある。2年連続20本塁打は、11年の統一球導入以来では球団では初。ただ、出塁率は.313は主軸打者としては物足りず、今季は4番らしい打撃に期待したい。
オリックスの25年ぶりリーグ制覇に大きく貢献した宗は、打っては2番に定着してクラッチヒットを連発、初のゴールデン・グラブを受賞するなど守備の貢献度も高い。盗塁数は決して多くないがベースランニングも優秀。打撃はまだ伸びる余地十分で、期待も込めて5位に選んだ。
【惜しくも圏外だった選手たち】
茂木栄五郎(楽天)は一昨年まで遊撃手だっただけあって、守備は一級品。昨季はショートゴロを横から“強奪”して、遊撃手が思わず苦笑する場面もあった。昨季はやや低調だったパンチ力と選球眼を備えた打撃も魅力で、宗との差はほとんどない。
中村剛也(西武)は38歳ながら18本塁打を放ち、打率でも初の10傑入り(.284)とベテラン健在をアピールした。高橋周平(中日)は昨季は不振に苦しんだが、19年にベストナイン&ゴールデン・グラブを受賞するなど本来は攻守を兼備。他にも、安田尚憲(ロッテ)や野村佑希(日本ハム)、リチャード(ソフトバンク)ら楽しみな若手選手がおり、今後も三塁は文字通り“ホットコーナー”として多くのファンを魅了するだろう。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。