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嘆くマエケン、大賛成のストローマン。MLBのユニバーサルDH導入に現役選手は賛否両論!<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.02.11

打撃の苦手な大半の投手たちにとっては朗報でも、バッティングも売りの前田(写真)にとっては「悲報」だったようだ。(C)Getty Images

打撃の苦手な大半の投手たちにとっては朗報でも、バッティングも売りの前田(写真)にとっては「悲報」だったようだ。(C)Getty Images

 現在もロックアウトが続いているメジャーリーグだが、今季に向けて一つ大きな変化が決定した。現地時間2月11日、ロブ・マンフレッド・コミッショナーが会見を行ない、新シーズンからナ・リーグにも指名打者制を導入する「ユニバーサルDH」について、選手会とオーナー側の合意を発表したのだ。

 1973年にア・リーグで指名打者制が導入されてからも、ナ・リーグは投手を打席に立たせるルールを維持してきた。だが、昨年の投手全体の打率がわずか.108で、逆に三振率は44.8%とほぼ「自動アウト」の状態となったため、「ユニバーサルDHを導入すべき」という声が一気に噴出した。

 これまでは、通算19本塁打のマディソン・バムガーナー(ダイヤモンドバックス)のようなスラッガー投手の存在や、「投手が安打を放つ意外性が野球の魅力」と考えるファンがいることもあってなかなか導入されなかったが、ついに実現する。

 今回の決定にはファンからも賛否両論で、打席に立てないことを悲しむ現役選手もいる。たとえば、日本時代から打撃自慢で知られ、メジャー初安打がホームランだった前田健太(ツインズ)は、「私はもうMLBでホームランが打てなくなってしまいました」とツイートしている。

 一方で、多くの投手たちの反応は、おおむね好意的だ。マンフレッドの会見にいち早く反応した通算61勝のマーカス・ストローマンは「ユニバーサルDH、大賛成だぜ!」とかなり直球的に意思を表明。ファンからの「もうホームランを打ちたくないの?」(ストローマンは通算1本塁打)というリプライにも、「僕は自分の打撃キャリアには満足しているよ(笑)。ユニバーサルDHでゲームがより良くなると信じている」とあくまで肯定的な姿勢を貫いた。

 また、レッズのリリーフ投手であるアミール・ギャレット(レッズ)も、ストローマンのツイートを引用しつつ自身の意見を述べている。
 
「ユニバーサルDH導入には賛成だ。ベテラン強打者の出場機会が増えるからね」

 近年のMLBは、各球団が年俸が高額になりがちなベテランFA選手との契約を敬遠し、代わりに安価な若手ばかりを起用する傾向が顕著となっており、それが今回の労使対立の原因の根幹でもあった。ギャレットの言う通り、ユニバーサルDH導入で守備や走塁は期待できなくとも、打撃ならまだ貢献できるベテラン選手の出場機会を増やすことにつながる可能性はある。

 また、今回の決定によって意外な選手がクローズアップされている。昨季、ブレーブスで14勝したマックス・フリードとジャイアンツで11勝を挙げたローガン・ウェブだ。

 フリードは昨季、打率.273、5打点の成績を残し、打撃に優れた選手を表彰するシルバースラッガー賞を受賞している。DH制下では投手に同賞が与えられることはないため、フリードは投手では最後の受賞者になる。

 一方のウェッブは昨年10月3日のシーズン最終戦(対パドレス)に先発した際、第3打席に左翼席へ2ラン本塁打を叩き込んだ。これ以降本塁打を放った投手はおらず、大谷翔平(エンジェルス)のような二刀流を除けば、「史上最後に本塁打を放った投手」になる可能性もある。

 また、ユニバーサルDHの導入によって、大谷を取り巻く環境にも変化が起こる。昨季はナ・リーグ球団主催の試合では代打でしか出場できなかったが、今季はその縛りもなくなる。また、昨季はDH制を解除して16試合に先発したが、今季もその起用が継続されるなら、打席に立つ「投手」はMLBで大谷だけということになるかもしれない。

構成●SLUGGER編集部

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