近年、MLBの試合時間は“長すぎる”と問題となっている。
昨季の平均試合時間は3時間10分で史上最長記録を更新。これだけ長いと試合のテンポが悪くなるとあって、近年は“時短”に血道を上げている。その対策として、投手が打者に投球するまでの時間に制限を設けるピッチ・クロックが考案された。すでにマイナーリーグでは導入されていたが、今年4月中旬から“規制強化”が行なわれ、劇的な試合時間短縮が見込めると現地で話題になっている。
マイナーリーグのピッチ・クロックは、それまで制限時間が20秒だった。2015年の導入当初、これによって平均試合時間が約5分短縮されたが、それでも3時間を超えたままで、そこまで劇的な時短が見込めるわけではなかった。
だが、今季は走者なしで14秒、走者がいる場合で18秒と、さらに1球ごとの間隔が短縮。さらに改善具合をより明確に比較するために開幕当初はピッチ・クロックなしで実施し、現地4月15日から規制が開始された。すると状況は一変。ピッチ・クロックなしの1試合平均が約3時間だったのに対し、導入初日の50試合で3時間を超えたのは8試合だけ。2時間59分以内のゲームが8割以上を占めた上、2時間30分以内に終わったゲームが約4分の1を数えた。
この傾向は導入から3日が経過するとさらに顕著になった。3時間を超えたゲームは全体のわずか15%にとどまり、一方で2時間30分未満は3分の1を占めている。投球間隔の短縮でこれだけ試合時間が短かくなったと、米誌『Baseball America』や米スポーツ専門局『ESPN』をはじめとする各メディアは驚きの声とともに報道している。
これだけ極端に試合時間が短縮されたにもかかわらず、投手・打者の一方が劇的に有利になることもない。ピッチ・クロックなしの試合では、1試合平均で15.9本の安打/5.11得点が記録されたが、ピッチ・クロックアリでも16.1安打/5.13得点とほとんど変化はなかったのだ。
昨年のドラフト全体1位でパイレーツに入団したヘンリー・デービス(現在は1A+でプレーしている)が「これまでにほとんど体験したことがないほど楽しかった」と語ったように、選手たちにもおおむね好意的に受け入れられているようだ。
ピッチ・クロックにはこれまで選手会からの反対の声が根強く、メジャーでは導入されてこなかったが、23年から実施される見通し。今後、マイナーでデータの収集がさらに進めば、それが早まる可能性もゼロではない。スピード感のなさが観客動員数減少の原因の一つともなっているだけに、今後の動向に注目したい。
構成●SLUGGER編集部
昨季の平均試合時間は3時間10分で史上最長記録を更新。これだけ長いと試合のテンポが悪くなるとあって、近年は“時短”に血道を上げている。その対策として、投手が打者に投球するまでの時間に制限を設けるピッチ・クロックが考案された。すでにマイナーリーグでは導入されていたが、今年4月中旬から“規制強化”が行なわれ、劇的な試合時間短縮が見込めると現地で話題になっている。
マイナーリーグのピッチ・クロックは、それまで制限時間が20秒だった。2015年の導入当初、これによって平均試合時間が約5分短縮されたが、それでも3時間を超えたままで、そこまで劇的な時短が見込めるわけではなかった。
だが、今季は走者なしで14秒、走者がいる場合で18秒と、さらに1球ごとの間隔が短縮。さらに改善具合をより明確に比較するために開幕当初はピッチ・クロックなしで実施し、現地4月15日から規制が開始された。すると状況は一変。ピッチ・クロックなしの1試合平均が約3時間だったのに対し、導入初日の50試合で3時間を超えたのは8試合だけ。2時間59分以内のゲームが8割以上を占めた上、2時間30分以内に終わったゲームが約4分の1を数えた。
この傾向は導入から3日が経過するとさらに顕著になった。3時間を超えたゲームは全体のわずか15%にとどまり、一方で2時間30分未満は3分の1を占めている。投球間隔の短縮でこれだけ試合時間が短かくなったと、米誌『Baseball America』や米スポーツ専門局『ESPN』をはじめとする各メディアは驚きの声とともに報道している。
これだけ極端に試合時間が短縮されたにもかかわらず、投手・打者の一方が劇的に有利になることもない。ピッチ・クロックなしの試合では、1試合平均で15.9本の安打/5.11得点が記録されたが、ピッチ・クロックアリでも16.1安打/5.13得点とほとんど変化はなかったのだ。
昨年のドラフト全体1位でパイレーツに入団したヘンリー・デービス(現在は1A+でプレーしている)が「これまでにほとんど体験したことがないほど楽しかった」と語ったように、選手たちにもおおむね好意的に受け入れられているようだ。
ピッチ・クロックにはこれまで選手会からの反対の声が根強く、メジャーでは導入されてこなかったが、23年から実施される見通し。今後、マイナーでデータの収集がさらに進めば、それが早まる可能性もゼロではない。スピード感のなさが観客動員数減少の原因の一つともなっているだけに、今後の動向に注目したい。
構成●SLUGGER編集部