3月25日に開幕したプロ野球は早くも1か月が経過。長いペナントレースとはいえ、数十試合が行われる中で各チームの戦力図はもちろん、好調な選手、一方で調子が上がらない選手も出始めた。プロ野球12球団の開幕からの「MVP」、「逆MVP」を振り返っていこう。今回はオリックスだ。
●MVP
山本由伸
2リーグ制初の“投手七冠”でMVP&沢村賞に輝いた昨季に続き、今季も防御率や奪三振を筆頭に数多くの部門でリーグ上位に顔を出している。まずは開幕戦で前年に敗れた西武と対戦。8回無失点でリベンジマッチを制し、チームの開幕連敗記録を10でストップさせた。
開幕戦から4先発連続で、7回以上に投げて自責点2以下のハイクオリティ・スタート(HQS)を継続中。4月9日のロッテ戦では、千葉マリンスタジアムの強風に苦しんで自己ワーストタイの5四球を与え、9安打を打たれながらも7回2失点にまとめて、リーグトップタイの3勝目をつかんでいる。
19日のソフトバンク戦で敗れ、昨年の5月28日から続いていた連勝は18でストップしたが、それでも8回2失点とエースの投球。黒星は打線の援護不足が大きな要因で、中嶋聡監督も「なかなか点が入らず、苦しい投球をさせている。1点もやれないプレッシャーもあるでしょうし、申し訳ないと思っている」とねぎらった。
打線が沈黙してもチームがシーズン最初の一ヵ月を借金2で乗り切れたのは、エースが安定して勝ちを運ぶからに他ならない。4月25日現在、チームは11勝13敗で4位とやや苦しい戦いが続いているが、昨季は交流戦で山本の連勝記録が始まると同時に勝ち始めた。今季も同様に、エースの安定感が浮上のカギとなるはずだ。
●逆MVP
杉本裕太郎
昨季は32本塁打でタイトルを獲得したが、今季は開幕24試合で柵越えは1本のみ。打率.301と発揮した確実性も、今季はかろうじて1割を上回るのが精一杯と、信じられない打撃不振に陥っている。
ボールを捉え切れないスウィングが目立ち、リーグ最多の32三振。繰り返される凡退に生気の抜けたような表情が何度も映し出された。少しでもプレッシャーを軽減しようと、打順を8番に下げられ、中嶋監督から「もう期待してないから」とジョークで声をかけられる気遣いもあって、4月16日の西武戦では決勝打を放ったが、その後も調子は上向かないままだ。
スタメンを外れる機会も増え、出口が見えない不調に二軍でのリフレッシュもささやかれ始めた。主砲の不振と歩調を合わせるかのように、打線もリーグワーストの60得点、OPS.547、打率.200と停滞し、その存在の大きさを改めて浮き彫りにしている。“ラオウ”と呼ばれた昨年の雄姿を取り戻すことが、エース山本と同様にチーム再浮上のカギを握るはずだ。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
●MVP
山本由伸
2リーグ制初の“投手七冠”でMVP&沢村賞に輝いた昨季に続き、今季も防御率や奪三振を筆頭に数多くの部門でリーグ上位に顔を出している。まずは開幕戦で前年に敗れた西武と対戦。8回無失点でリベンジマッチを制し、チームの開幕連敗記録を10でストップさせた。
開幕戦から4先発連続で、7回以上に投げて自責点2以下のハイクオリティ・スタート(HQS)を継続中。4月9日のロッテ戦では、千葉マリンスタジアムの強風に苦しんで自己ワーストタイの5四球を与え、9安打を打たれながらも7回2失点にまとめて、リーグトップタイの3勝目をつかんでいる。
19日のソフトバンク戦で敗れ、昨年の5月28日から続いていた連勝は18でストップしたが、それでも8回2失点とエースの投球。黒星は打線の援護不足が大きな要因で、中嶋聡監督も「なかなか点が入らず、苦しい投球をさせている。1点もやれないプレッシャーもあるでしょうし、申し訳ないと思っている」とねぎらった。
打線が沈黙してもチームがシーズン最初の一ヵ月を借金2で乗り切れたのは、エースが安定して勝ちを運ぶからに他ならない。4月25日現在、チームは11勝13敗で4位とやや苦しい戦いが続いているが、昨季は交流戦で山本の連勝記録が始まると同時に勝ち始めた。今季も同様に、エースの安定感が浮上のカギとなるはずだ。
●逆MVP
杉本裕太郎
昨季は32本塁打でタイトルを獲得したが、今季は開幕24試合で柵越えは1本のみ。打率.301と発揮した確実性も、今季はかろうじて1割を上回るのが精一杯と、信じられない打撃不振に陥っている。
ボールを捉え切れないスウィングが目立ち、リーグ最多の32三振。繰り返される凡退に生気の抜けたような表情が何度も映し出された。少しでもプレッシャーを軽減しようと、打順を8番に下げられ、中嶋監督から「もう期待してないから」とジョークで声をかけられる気遣いもあって、4月16日の西武戦では決勝打を放ったが、その後も調子は上向かないままだ。
スタメンを外れる機会も増え、出口が見えない不調に二軍でのリフレッシュもささやかれ始めた。主砲の不振と歩調を合わせるかのように、打線もリーグワーストの60得点、OPS.547、打率.200と停滞し、その存在の大きさを改めて浮き彫りにしている。“ラオウ”と呼ばれた昨年の雄姿を取り戻すことが、エース山本と同様にチーム再浮上のカギを握るはずだ。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。