現地5月27日にエンジェルスと対戦した、ブルージェイズの巨漢の先発投手に目を止めた人も多いだろう。彼は24歳の若手右腕、アレック・マノーア。この日はジャレッド・ウォルシュとタイラー・ウェイドに本塁打を浴びたものの、それでも6回2失点と好投。防御率1.77は27日時点でリーグ3位につけている。
フロリダ州出身のマノーアは、19年にドラフト1位(全体11位)でブルージェイズに入団。マイナー経験わずか9試合で昨年メジャーデビューを果たし、20先発で9勝2敗、9月には月間最優秀新人にも輝くなどいきなり好成績を残した。その投球は、今季になってからさらに進化している。
最大の武器はスライダー。平均球速は130キロそこそこだが、急激に横滑りしながら鋭く落ちる。あまりに非現実的なその軌道に、投球分析家の"ピッチング・ニンジャ"ことロブ・フリードマンは"ビデオゲーム・スライダー"と命名。「最高のスライダーの一つ」と手放しで称賛している。
スライダーだけでなく、回転数が高い4シームも一級品。この2球種を中心に、シンカーや左打者用のチェンアップも交えながら打者を抑え込む。今季初登板となった4月11日のヤンキース戦では、アーロン・ジャッジを中心とする強力打線を6回1安打無失点(4四球)に抑えてシーズン初勝利を挙げ、そこから開幕4連勝。5月21日のレッズ戦では、キャリア最長タイの8回を投げて1失点に封じて5勝目を手にした。
ビジュアルも強烈だ。身長198cm、体重129kgの巨体に加え、顔にはアゴヒゲがモジャモジャ生えており、右腕はタトゥーで埋め尽くされている。こう書くとまるで威圧感丸出しのコワモテのように聞こえるが、大きな体には不釣り合いなタレ目も特徴の童顔で、表情には独特の愛嬌がある。
また、性格もいたって気のいい男だ。見た目通り食いしん坊で、昨季は同じくぽっちゃり体型のベテラン左腕リュ・ヒョンジンに"弟子入り"。ステーキハウスから韓国料理店まで、一緒にあちこち食べ歩きに赴いた。特にチジミが気に入ったようで、「最初は『何これ? シーフードの入ったパンケーキなんて聞いたことないよ』と思ったんだけど、今は韓国料理店に行くたびに『ねえ、シーフードのパンケーキちょうだい!』って注文するほどハマってるよ!」と語るほどだ。
このように、かなりユニークな性格のマノーアだが、実は母親もなかなか強烈なキャラクターをしている。昨年5月27日のメジャーデビュー戦(対ヤンキース戦)では、球場に駆け付けた母スザンナが、息子が三振を取るたびに派手なガッツポーズで絶叫して喜ぶ姿が話題となった。
息子の晴れ舞台に興奮するのも無理はない。スザンナはシングルマザーで3人(アレック・兄・姉)の子供を育て上げ、男の子2人をプロ野球の世界に送り込んだ苦労人(兄エリックもナショナルズ傘下3Aでプレーする投手)。複数の仕事をかけ持ちしながら自分を育ててくれた母の苦労を、マノーアは「生活は苦しかったよ。でも、母さんは僕たちが野球をするために、やりたくない仕事でもやってくれたんだ」と語る。
5月8日の母の日、ガーディアンズ戦に先発したマノーアは、母が観戦する前で5回2失点と好投。試合後には自ら特注した母の日仕様のスパイクをスザンナにプレゼントした。
好物、そして母の愛からパワーを得て、好投を続けるベイビーフェイスの巨漢エース。球界でも屈指のユニークなキャラクターと、高い実力を備えたマノーアが果たして今後どれだけ活躍してくれるのかが楽しみだ。
構成●SLUGGER編集部
フロリダ州出身のマノーアは、19年にドラフト1位(全体11位)でブルージェイズに入団。マイナー経験わずか9試合で昨年メジャーデビューを果たし、20先発で9勝2敗、9月には月間最優秀新人にも輝くなどいきなり好成績を残した。その投球は、今季になってからさらに進化している。
最大の武器はスライダー。平均球速は130キロそこそこだが、急激に横滑りしながら鋭く落ちる。あまりに非現実的なその軌道に、投球分析家の"ピッチング・ニンジャ"ことロブ・フリードマンは"ビデオゲーム・スライダー"と命名。「最高のスライダーの一つ」と手放しで称賛している。
スライダーだけでなく、回転数が高い4シームも一級品。この2球種を中心に、シンカーや左打者用のチェンアップも交えながら打者を抑え込む。今季初登板となった4月11日のヤンキース戦では、アーロン・ジャッジを中心とする強力打線を6回1安打無失点(4四球)に抑えてシーズン初勝利を挙げ、そこから開幕4連勝。5月21日のレッズ戦では、キャリア最長タイの8回を投げて1失点に封じて5勝目を手にした。
ビジュアルも強烈だ。身長198cm、体重129kgの巨体に加え、顔にはアゴヒゲがモジャモジャ生えており、右腕はタトゥーで埋め尽くされている。こう書くとまるで威圧感丸出しのコワモテのように聞こえるが、大きな体には不釣り合いなタレ目も特徴の童顔で、表情には独特の愛嬌がある。
また、性格もいたって気のいい男だ。見た目通り食いしん坊で、昨季は同じくぽっちゃり体型のベテラン左腕リュ・ヒョンジンに"弟子入り"。ステーキハウスから韓国料理店まで、一緒にあちこち食べ歩きに赴いた。特にチジミが気に入ったようで、「最初は『何これ? シーフードの入ったパンケーキなんて聞いたことないよ』と思ったんだけど、今は韓国料理店に行くたびに『ねえ、シーフードのパンケーキちょうだい!』って注文するほどハマってるよ!」と語るほどだ。
このように、かなりユニークな性格のマノーアだが、実は母親もなかなか強烈なキャラクターをしている。昨年5月27日のメジャーデビュー戦(対ヤンキース戦)では、球場に駆け付けた母スザンナが、息子が三振を取るたびに派手なガッツポーズで絶叫して喜ぶ姿が話題となった。
息子の晴れ舞台に興奮するのも無理はない。スザンナはシングルマザーで3人(アレック・兄・姉)の子供を育て上げ、男の子2人をプロ野球の世界に送り込んだ苦労人(兄エリックもナショナルズ傘下3Aでプレーする投手)。複数の仕事をかけ持ちしながら自分を育ててくれた母の苦労を、マノーアは「生活は苦しかったよ。でも、母さんは僕たちが野球をするために、やりたくない仕事でもやってくれたんだ」と語る。
5月8日の母の日、ガーディアンズ戦に先発したマノーアは、母が観戦する前で5回2失点と好投。試合後には自ら特注した母の日仕様のスパイクをスザンナにプレゼントした。
好物、そして母の愛からパワーを得て、好投を続けるベイビーフェイスの巨漢エース。球界でも屈指のユニークなキャラクターと、高い実力を備えたマノーアが果たして今後どれだけ活躍してくれるのかが楽しみだ。
構成●SLUGGER編集部