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名将ラルーサが「本物」と認める快投。ジャッジに“並んだ”大谷翔平に密かに高まるMVPへの期待「やはり特別だ」

THE DIGEST編集部

2022.06.30

相手打者から三振を奪って叫んだ大谷。この気迫あふれる投球は、敵将も認めるほどの凄みがあった。(C)Getty Images

「しっかり6回は投げきりたかった」

 試合後に大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、自らのピッチングをそう惜しんだ。その想いは振る舞いにも表れていた。現地時間6月29日に行なわれたシカゴ・ホワイトソックス戦で降板を告げられた際に、背番号17は唇をかみしめ、悔しそうな表情でベンチへと下がっていった。

 もっとも、ピッチング内容は、当人の表情とは裏腹に堂々たるものだった。大谷いわく「球数がちょっと多かった」が、それでも3回までに6つの三振を奪う力投ぶり。結局、5回2/3(108球)を投げ、被安打5、11奪三振で無失点と、強打のホワイトソックス打線をねじ伏せたのである。

 8回無失点13奪三振を記録した6月22日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦に続く奪三振ショーを見せた偉才には、百戦錬磨の敵将も賛辞を惜しまない。通算2856勝を誇り、リーグ最優秀監督に4度輝いているホワイトソックスのトニー・ラルーサ監督は、試合後の会見で「うまく球数を投げさせられたとは思うし、チャンスも作れた」と自軍の攻めを振り返りつつ、次のように語った。

「我々も全力は尽くした。オオタニに球数を投げさせ、1打席を長くすることができた。しかし、彼は複数の武器を持っている。紛れもなく本物だ」
 
 球界の酸いも甘いもかみ分ける名将が「本物」と認める活躍ぶりだ。今月に入ってから打っては打率.308、6本塁打、長打率.593で、投げては24イニングで防御率1.88、奪三振率10.13と投打でハイアベレージを記録している。そんな大谷だけに、自然とシーズンMVPへの期待も膨らんでしまう。

 実際、大谷の受賞はスランプが指摘された今季の開幕当初よりも可能性が高まっていると言っていい。選出をするうえでの指標のひとつとなる「fWAR」は、打者の値が1.7、投手の値は2.3にまで上昇。合計した4.0は、アメリカン・リーグにおいては4.1のラファエル・デバース(ボストン・レッドソックス)に次ぐ2位タイのアベレージなのだ。ちなみに同僚のマイク・トラウトや、ニューヨーク・ヤンキースの主砲アーロン・ジャッジも4.0である。

 この図抜けたスタッツを残す大谷には、米メディア『The Athletic』などに寄稿していたブレント・マグワイア記者が「やはりオオタニは特別だ」と評したように、現地メディアでも、少しずつ期待が強まっている。

 仮に2年連続でMVPとなれば、日本人選手史上初の快挙だ。はたして、その偉業を大谷はやってのけるのか。エンジェルスの結果とともに注目していきたい。

構成●THE DIGEST編集部

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