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大谷翔平の歴史的投球が浮き彫りにしたエンジェルスの“悲惨な現状”。米ラジオ局が「FAは確実」と皮肉るほどに――

THE DIGEST編集部

2022.07.08

エースとしての快投を披露し続けている大谷。その活躍の裏でエンジェルスは悲惨な成績に終始している。(C)Getty Images

エースとしての快投を披露し続けている大谷。その活躍の裏でエンジェルスは悲惨な成績に終始している。(C)Getty Images

 相手打線を牛耳って抑え込む――。このエースと求められる役割を見事に体現したのが、現地時間7月6日に敵地で行なわれたマイアミ・マーリンズ戦に「3番・DH兼投手」として先発マウンドに上がった大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)だ。

 初回に失策絡みで1点こそ失った。だが、そこから乱れないのが、大谷がエンジェルスのエースたる所以だ。2回2死以降は15者連続で打ち取るなど、マーリンズ打線につけ入る隙を与えず、敵将ドン・マッティングリーが「サイ・ヤング賞にも値し、MVP受賞にも匹敵する」と脱帽するほどの投球を見せつけた。

 7回1失点10奪三振を記録した大谷。この日は打っても5回に自ら逆転となる2点タイムリーヒットを放って活躍。1920年に打点が公式記録とされて以来、史上初めて「1試合10奪三振+2打点+1盗塁」を記録したメジャーリーガーとなった。

 ただ、大谷の八面六臂の働きは奇しくもエンジェルスの厳しい現状を浮き彫りにしてしまっている。というのも「投手・大谷」が6月2日(現地時間)のニューヨーク・ヤンキース戦以降、負けなしの5連勝を飾っているのだが、その間にチームは背番号17のエースが登板しなかった試合で、6勝20敗と大きく負け越しているのだ。
 
 直近5試合での防御率はわずかに1.23。さらに奪三振率は11.78と図抜けている。これだけの圧巻の数字を日々打者としての出場を続けながら残しているのだから脱帽するほかになく、これこそが大谷の「偉才」と呼ばれる所以だとも言える。

 ゆえに大谷の双肩にすべてを託してしまっているエンジェルスの現状は歯がゆい。米ネットワークラジオ局『Audacy』も「オオタニ個人に焦点を当てれば、十分に壮大なシーズンを送っている」としたうえで「この二刀流のスーパースターが、エンジェルスがこの先プレーオフ争いに加われないと感じれば、23年シーズン後にFAとなるのは確実だ」と皮肉るほどだ。

 重大なプレッシャーのかかるなかで結果を残し続けている大谷は素晴らしく、エンジェルスは最盛期にある彼を今こそ活かして、勝ち星を増やさない手はない。だが、マーリンズ戦後に「本当に見ていて楽しい」と語った監督代行の代行を務めたレイ・モンゴメリーのコメントからは、現状に対する危機感はどこか伝わってこない。

 アメリカン・リーグ西地区で首位ヒューストン・アストロズから16ゲーム差をつけられて4位に沈むエンジェルスは、このまま8年ぶりのプレーオフ進出から遠のいてしまうのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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