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【検証】ダルビッシュ有はリリーフに足を“何回”引っ張られた? MLB平均を大幅に上回る「生還率」<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.08.20

9回まで力投を見せたダルビッシュだったが、“この日も”後を継いだ投手が踏ん張り切れずに失点数が増加。今季の出来は防御率以上に良かったはず?(C)Getty Images

9回まで力投を見せたダルビッシュだったが、“この日も”後を継いだ投手が踏ん張り切れずに失点数が増加。今季の出来は防御率以上に良かったはず?(C)Getty Images

 今季最高級の投球を見せながら、勝利投手になれないどころか黒星がついてしまう“不運”に見舞われた。

 ダルビッシュ有(パドレス)は現地8月18日、本拠地でのナショナルズ戦に先発すると、8回まで1失点に抑える快投を披露。1対1の同点で迎えた9回もマウンドに上がったが、2人の走者を出したところで守護神のジョシュ・ヘイダーに後を託して降板した。すると、ヘイダーがその2人の走者を生還させてしまい、ダルビッシュは最終的に3失点。パドレスはそのまま1対3で敗れ、ダルビッシュに今季7敗目が記録された。

【動画】ダルビッシュ、今季最長9回途中までの力投ハイライトをチェック

 降板時点で球数は96球だったこともあり、試合後、ボブ・メルビン監督には交代の是非を問う質問が殺到した。指揮官は「球数が少なかったので(交代の決断は)難しかったが、9回は2人の走者を出したら交代と決めていた」と説明したものの、ここ最近のヘイダーの乱調や、ダルビッシュにまったく合っていなかった右打者を迎えた時点での交代とあり、疑問の残る決断ではあった。

 今季のダルビッシュは、残した走者を後続のリリーフが生還させてしまうケースが目立つ。

●4月12日ジャイアンツ戦:2回1死一塁→二塁打で失点
●4月17日ブレーブス戦:7回2死二塁→無失点
●5月13日ブレーブス戦:6回2死一、三塁→3ランで2失点
●5月20日ブルワーズ戦:7回2死二塁→無失点
●6月1日カーディナルス戦:8回2死二塁→二塁打で失点
●8月13日ナショナルズ戦:7回無死一塁→単打で失点
●8月18日ナショナルズ戦:9回1死一、二塁→押し出しなどで2失点
 
 今季のダルビッシュはここまで23先発し、そのうち7試合でイニング途中に降板している。そして、18日を含めて5回、走者9人のうち実に6人を交代した投手によってホームに返された。救援投手が引き継いだ走者をホームに生還させた割合は今季のMLB平均が32%だが、ダルビッシュはその倍にあたる67%だから相当に“不運”ということになる。

 中でも、あらゆる意味で運がなかった試合が5月13日のブレーブス戦だ。ダルビッシュは6回途中に降板し、代わった元阪神のロベルト・スアレスが3ランを被弾して失点が2つ増えたが、実は“その前”がかわいそうだった。

 2死二塁で、アダム・デュバルの打球は完全に打ち取った当たりの凡フライだったが、右翼のウィル・マイヤーズはなぜか後退してから前進、打球がグラブに当たるも落球して走者が生還。このプレーはエラーにならず自責点がつく形となり、ダルビッシュはその後、連打を浴びて途中降板した。

 先の凡フライは捕球確率95%(!)というかなりイージーなプレーだった。しかし、それを落としただけでなくヒットと判定される不運。結果として、ダルビッシュにはQS(6イニング以上投げて自責点3以下)もついていたはずが、失点が2→5に増えることになった。

 もちろん、ダルビッシュもバックの好守に助けられた場面があったのは間違いないし、リリーフに救われた試合も過去にはあっただろう。とはいえ、8月18日のスコアブックに記されたダルビッシュの自責点「3」を見ると、防御率3.39よりも優れた数字だったのではないかとの思いは浮かばずにはいられない。

構成●SLUGGER編集部
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