胸をすくような快投に虎党も沸いた。
8月20日に東京ドームで行なわれた巨人戦で先発した藤浪晋太郎(阪神)は、7回(108球)を投げ、被安打6、5奪三振と好投。6回に丸佳浩にソロ本塁打を打たれたものの、四死球はゼロ。大崩れせずに待望の今季初勝利を挙げた。
本人曰く「調子自体は良くなかった」。実際、2回に1死一、二塁、4回に無死二塁、5回無死二塁と、ほぼ毎回のように得点圏にランナーを置くピンチを招いた。だが、要所で投じたスプリットとカットボールが冴えを見せ、巨人打線を抑え込んだ。
とりわけ圧巻だったのは、5回無死二塁から2死を取って、吉川尚輝と対峙した場面だ。「あまり深く考えずに投げようと思った」という藤浪は、初球から7球連続で150キロ中盤の4シームを投げ込んでいとも簡単に追い込むと、カウント2-2から最後は148キロのスプリットを打たせてレフトフライに打ち取る。相手打者をねじ伏せるような投球は、「晋太郎らしいボールだった」と評した矢野監督の言葉にもあるように、まさにエースのそれだった。
2年連続で開幕投手を任された今季は、新型コロナウイルス感染の影響もあって白星が掴めないものだかしい日々を送ってきた。それでも二軍で研鑽を積み、球威や制球力は洗練されていた。1軍先発復帰戦となった今月6日の広島戦は7回途中2失点、そして13日の中日戦は7回10奪三振1失点と快投。そして、この巨人戦で433日ぶりの勝利を掴んだ。
巨人相手に限れば、16年4月5日以来、2328日ぶりの勝利だ。それだけに本人の喜びもひとしおだ。試合後のヒーローインタビューに登場した背番号19は、「率直に勝てて良かったですし、野手にも点数をとってもらって、楽に投げさせてもらった」とはにかんだ。
「巨人には前回打たれていましたし、何とか抑えることができて良かったと思います。今知ったんですけど、やっぱり巨人という強いチームに勝っていってこそだと思う。阪神ファンの方も喜んでもらえると思いますし。もっともっと自分自身、しっかり勝てるように頑張りたいなと思います」
苦しみ続けた右腕をマウンドに送り出した指揮官も感慨深げに喜んだ。矢野燿大監督は、試合後のフラッシュインタビューで、時折、笑みを浮かべながら、こう語った。
「前回も素晴らしい投球で勝たせてやることができなかったんですけど、今日もそれに近いような晋太郎らしいボールが行っていましたね。残りのシーズンも、晋太郎にはもちろん頑張ってもらいたいです。スケールの大きな投手なんでね。そういうところでは晋太郎自身のこれからのプロ野球人生を考えてもね、この1勝が何かにつながればうれしいなと思います」
これで巨人からのシーズン勝ち越しも決めた阪神。シーズン終盤戦で激しい上位争いを繰り広げるチームにあって、藤浪の"復活"は何よりも心強いものとなっていきそうだ。
構成●THE DIGEST編集部
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8月20日に東京ドームで行なわれた巨人戦で先発した藤浪晋太郎(阪神)は、7回(108球)を投げ、被安打6、5奪三振と好投。6回に丸佳浩にソロ本塁打を打たれたものの、四死球はゼロ。大崩れせずに待望の今季初勝利を挙げた。
本人曰く「調子自体は良くなかった」。実際、2回に1死一、二塁、4回に無死二塁、5回無死二塁と、ほぼ毎回のように得点圏にランナーを置くピンチを招いた。だが、要所で投じたスプリットとカットボールが冴えを見せ、巨人打線を抑え込んだ。
とりわけ圧巻だったのは、5回無死二塁から2死を取って、吉川尚輝と対峙した場面だ。「あまり深く考えずに投げようと思った」という藤浪は、初球から7球連続で150キロ中盤の4シームを投げ込んでいとも簡単に追い込むと、カウント2-2から最後は148キロのスプリットを打たせてレフトフライに打ち取る。相手打者をねじ伏せるような投球は、「晋太郎らしいボールだった」と評した矢野監督の言葉にもあるように、まさにエースのそれだった。
2年連続で開幕投手を任された今季は、新型コロナウイルス感染の影響もあって白星が掴めないものだかしい日々を送ってきた。それでも二軍で研鑽を積み、球威や制球力は洗練されていた。1軍先発復帰戦となった今月6日の広島戦は7回途中2失点、そして13日の中日戦は7回10奪三振1失点と快投。そして、この巨人戦で433日ぶりの勝利を掴んだ。
巨人相手に限れば、16年4月5日以来、2328日ぶりの勝利だ。それだけに本人の喜びもひとしおだ。試合後のヒーローインタビューに登場した背番号19は、「率直に勝てて良かったですし、野手にも点数をとってもらって、楽に投げさせてもらった」とはにかんだ。
「巨人には前回打たれていましたし、何とか抑えることができて良かったと思います。今知ったんですけど、やっぱり巨人という強いチームに勝っていってこそだと思う。阪神ファンの方も喜んでもらえると思いますし。もっともっと自分自身、しっかり勝てるように頑張りたいなと思います」
苦しみ続けた右腕をマウンドに送り出した指揮官も感慨深げに喜んだ。矢野燿大監督は、試合後のフラッシュインタビューで、時折、笑みを浮かべながら、こう語った。
「前回も素晴らしい投球で勝たせてやることができなかったんですけど、今日もそれに近いような晋太郎らしいボールが行っていましたね。残りのシーズンも、晋太郎にはもちろん頑張ってもらいたいです。スケールの大きな投手なんでね。そういうところでは晋太郎自身のこれからのプロ野球人生を考えてもね、この1勝が何かにつながればうれしいなと思います」
これで巨人からのシーズン勝ち越しも決めた阪神。シーズン終盤戦で激しい上位争いを繰り広げるチームにあって、藤浪の"復活"は何よりも心強いものとなっていきそうだ。
構成●THE DIGEST編集部
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