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MLB

獲得した選手は絶不調、放出した選手は絶好調――夏のトレードの「勝ち組」だったはずのヤンキースの大誤算<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.08.22

モンタス(左)もベニンテンディ(右)もほとんど戦力にならず。ヤンキースの調子も上向かない。(C)Getty Images

モンタス(左)もベニンテンディ(右)もほとんど戦力にならず。ヤンキースの調子も上向かない。(C)Getty Images

 ヤンキースの“失速”が止まらない。前半戦はシーズン113勝ペースで飛ばしていたのに、現地8月18日のブルージェイズ4連戦で最初の3試合に連敗し、その時点で後半戦は9勝19敗、勝率.321の惨状だ。あまりの不甲斐なさに、アーロン・ブーン監督が20日の試合後の会見で「もっとマシなプレーをすること。それだけだ!」と激高して机を手で叩き、マイクが飛び上がる一幕もあった。

 打線がチャンスに打てないとか、先発投手陣が思うように試合を作れていないとか、ヤンキースが勝てない要因はいくつかある。シーズン70本近いペースでホームランを量産し、MVP最有力候補の呼び声高い主砲のアーロン・ジャッジも勢いには陰りが見え、エースのゲリット・コールも20日の試合で打ち込まれるなど、投打ともに調子が良くない。

 中でもニューヨークのファンやメディアから槍玉に挙げられているのが、今夏のトレードで補強した選手が思うように活躍できていないことだ。

 前半戦終了時点で地区2位のレイズに13ゲーム差と独走状態だったヤンキースだが、2009年以来の世界一奪還を目指して夏のトレード市場では積極的に動いた。7月27日にロイヤルズから好打と好守を兼ね備えた外野手のアンドリュー・ベニンテンディを、さらにトレード期限前日の8月1日には、アスレティックスのエース、フランキー・モンタスを獲得した。ブルペンの底上げにも成功するなど着実に戦力を向上させ、各メディアから「夏のトレード市場の勝ち組」に挙げられていた。
 
 だが蓋を開けてみれば、現在のところ新戦力は大いに期待を裏切っている。ロイヤルズではリーグ3位の打率.320を記録していたベニンテンディは、移籍以降で.191(20日時点)と大不振。モンタスも3先発して14イニングで14失点を献上するなど精彩を欠いている。

 これだけでも十分痛いが、さらにファンを苛立たせているのは、夏のトレードで放出した選手たちが新天地で活躍していること。ヤンキースでは打率.159と絶不調で、追われるようにしてドジャースへ去った外野手のジョーイ・ギャロは、移籍後10試合で3本塁打を放つなど劇的に復調した。

 同じく2日には、チーム2位の114.2イニングを投げていた先発左腕のジョーダン・モンゴメリーをカーディナルスにトレード。このモンゴメリーは、移籍後の3先発で計16.2イニングを1失点のみと好投し、早くも3勝を挙げている。これに対してヤンキースは、トレード・デッドラインから20日まで3勝13敗。チーム全体でモンゴメリーと同じ勝ち星しか挙げられていないのだ。これではニューヨークのファンが怒り心頭になるのも無理はない。

 もちろん、ヤンキースの今夏のトレード戦略が「失敗に終わった」と結論づけるのは早計だ。まだトレード期限から1ヵ月も経っておらず、モンタスやベニンテンディの成績が今後上向く可能性は十分ある。また、9月にはモンゴメリーとのトレードで得た昨季のゴールドグラブ外野手ハリソン・ベイダーが故障から帰ってくる。そもそも、レギュラーシーズンだけでなくポストシーズンの結果を踏まえてからではないと、本当の意味でのトレードの成否は判断できない。

 21日のブルージェイズ戦、ベニンテンディの移籍後初本塁打もあって、ヤンキースは4対2で勝利。何とかスウィープを避けることに成功した。この勝利を機に本来の姿を取り戻すことができるだろうか。

構成●SLUGGER編集部
 

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