文字通り身体を張ったキャッチが話題となっている。

　周囲も驚くファインプレーをやってのけたのは、サンディエゴ・パドレスのキム・ハソンだ。現地時間８月21日に行なわれたワシントン・ナショナルズ戦に「６番・ショート」で先発した26歳が奮闘したのは、６回表１死無塁の場面だった。

　打席に入った相手打者ビクトル・ロブレスが打ち上げた打球が、三塁側のスタンド付近にフラフラと舞い上がった時だった。ボールを猛然と追っていったキム・ハソンは、フェンス際でダイビング。勢いあまって上半身ごとフェンスに激突しながらも、グラブからこぼさずに見事にキャッチしたのである。

　しばらく起き上がれなかった本人の姿を見ても、フェンスに当たった際の衝撃がいかに強かったかは想像に難くない。それだけに「正直言って恐かったし、彼がボールを取っているとも思えなかった。本当に非現実的だ」（パドレスのジョシュ・ベル談）と語った同僚たちだけでなく、敵将も驚きを隠さなかった。

　キム・ハソンが見せた気迫あふれるプレーを目の当たりにしたナショナルズのデイブ・マルティネス監督は、こう感嘆した。
  「あの男は本当にハードにプレーしている。個人的には、彼がやって見せたようなプレーが好きだね。ああいうプレーにはみんなが元気づけられると思う」

　敵将を脱帽させたキム・ハソン。なにもそのポジションは確約されたものではなかった。というのも、今月12日に右手首の骨折から復帰間近だったフェルナンド・タティースJr.が禁止薬物使用によって80日間の出場禁止処分を下され、急遽レギュラーとして出番が巡ってきたのだ。

　無論、攻撃力では昨季のナショナル・リーグ本塁打王となったタティースJr.には及ばない。それでも今季の彼は、本領を発揮し堂々たる成績を残している。異なるポジションの選手を「どれだけ勝利に貢献したか」という点で評価する数値「WAR」は、チーム５位（0.8）だ。

　そんな守りで献身性の高さを見せつけた26歳には、米メディアからも賛辞の声が上がる。MLBの公式サイトは、「これは間違いなくゴールドグラブ級だ。彼はタティースJr.不在というパドレスの懸念材料を打ち消し、ショートに安定をもたらした」と称えた。

　ハイレベルな守備でチームを救ったキム・ハソン。「僕には強靭な腹筋がある。だから問題ないよ」とはにかんだ名手には、一見の価値があると言えそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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